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ゆっくりれみりゃのおかしな友達 下 それから、ゆっくりれいむは、少しずつ変化していった。 れみりゃは最初、気づかなかった。翌日遊びに行くと、れいむはいつものように喜んで出迎えてくれた。 だが二日目に、れいむの左の房飾りがなくなっていた。 三日目には右のほっぺたが少し赤くなっていた。 四日目には後ろ髪がぼさぼさになっていた。 五日目には、切り株にいってもいなかった。「うーうー!」と踊ると木のうろからすぐに出てきたが、その日一日はよくころんでいた。 六日目には最初から切り株のところにいたが、やけにハイになっていた。 「ゆっくりしていってね! ゆぅっくりしていってね!!!」 大声で何度もゆっくりを連発し、れみりゃにむやみと頬ずりしてきた。れいむが元気そうなのは嬉しかったが、ちょっとうるさくていやだ、とれみりゃは思った。 「れいむは、れみぃとゆっくりするからね! もう心配ないからね!」 そんなことをれいむはずっと繰り返していた。 その日、れみりゃが帰ろうとすると、れいむは泣いた。 「もっとゆっくりしてってよ! いっしょに遊んでよー!」 「う、ううー……」 れみりゃはいつもの笑顔に困り汗を浮かべて、彼女なりに迷った。けれども、おなかがだいぶ減っていた。食欲第一の生き物であるれみりゃは、我慢できずにぱとぱとと飛び立った。 「まーたくーるねー!」 「明日もぜったいきてね! ゆっくりまってるね!!!」 切り株の上で、れいむは何度もぴょんぴょん跳んでいた。 そして七日目―― れみりゃが上空から降りてくると、切り株のかたわらにぼろ雑巾のようになったゆっくりが転がっていた。 「れーむ? れーむ!」 驚いたれみりゃは、あわててゆっくりのそばに下りて、丸い体を抱き起こす。幸い、れいむはまだ生きていた。れみりゃに気づくと、「ゆふっ」とかすかな笑みを浮かべて、言う。 「ゆっくり……きてくれたのね」 「れーむ、いたい? いたい?」 「だいじょぶ……ゆぐぅ!」 起き上がろうとしたれいむが、顔をしかめてれみりゃの腕の中に沈みこんだ。 れみりゃは危機感を覚えて、おろおろと辺りを見回す。 「んうー、れーむ、いたいいたいなってる……」 れみりゃに傷を治す知恵はない。 できるのは、たださすってやることだけだ。 弱ったれいむを抱きしめて懸命に後ろを撫でてやっていると、れいむが口を開いた。 「ありがとね、れみぃ。れみぃはいい子だよね!」 「んう、れみぃはいいこだよ?」 「だよね。でも、みんなはわかってくれなく……て……」 再びぐったりとなるれいむ。れみりゃは懸命に呼びかける。 「れーむ、れーむー!」 そのときだった。れみりゃの背後から、異様な叫びが投げつけられた。 「「「「「「「さっさとでていってね!!!!」」」」」」」 振り向いたれみりゃは、ぎょっとする。 そこに大勢のゆっくりが集まっていた。単独れいむや家族れいむ、まりさやぱちゅりーやちぇんやみょんなど、全部で五十体を越えているだろうか。 先頭のゆっくりまりさが、もういちど言った。 「さっさとでていってね! ゆっくりできないゆっくりはだいきらいだよ!」 「う、うー? れーむがきらい?」 「ゆっくりれみりゃとなかよくするなんて、へんだよ! おかしいよ!」 じわじわと寄ってきたゆっくりの集団が、れみりゃたちを取り囲んだ。飛び上がって、どん、どん、と弱っているゆっくりに体当たりをし始める。 「ゆっくりしないでね!」 「もうなかまじゃないよ!」 「きらいになったからね!」 前からも後ろからも体当たりされて、れみりゃは頭にきた。れいむを下において、両手を振りかざす。 「がおー! たべちゃうぞー!」 必勝のポーズ、のはずだった。ゆっくりたちは一瞬、びくりと動きを止める。 だが次の瞬間には、前にもまして激しく体当たりし始めた。れみりゃは必死になって、追い払おうとする。 「が、がおお! がおおおおー!! ほんとにほんとにたべちゃうぞー!」 「ゆっくりやってみれば?」 どしんと後ろから三匹にまとめて体当たりされて、れみりゃは前にのめった。勝てると踏んだか、家族ゆっくりの母が呼びかける。 「やっつけるよ! こいつはこわくないよ!」 「ゆっくりーーー!!!」 歓声を上げて、ゆっくりたちが殺到する。れみりゃは悔しくて泣きたくなる。 ゆっくりは楽しいことばだったはずなのに。 れーむがおしえてくれたまほうのことばなのに。 こんなやつらに言われてしまうなんて。 咲夜を呼んで、ぜんぶ潰してもらいたかった。でも咲夜はこないとわかっていた。野犬に襲われたあの日に、身に染みて知った。そう、助けは来ない。 ここにいるのは、自分とれいむだけ。 だから、ふたりでなんとかしなくちゃいけない。 れみりゃはれいむを抱き上げて、思い切り地を蹴った。 「ゆゆゆっ!?」 下手くそな羽ばたきでれみりゃが舞い上がった次の瞬間、彼女のいたところに、ゆっくりたちがどさどさと積みあがった。 去っていくれみりゃの耳に、ゆっくりたちの叫びが届く。 「ゆっくりしてきてね!!!」 「かえってこなくていいからね!!!」 戻るもんか、とれみりゃは思った。 あんな連中の居るところには、れいむを置いておけない。 自分とふたりで、なかよく暮らすんだ。 だが、紅魔館の庭に戻ったれみりゃを待っていたのは、魔法の森以上の苦労だった。 「がうー、おいしそー♪」 「れみー、たべちゃおー♪」 ちょっとした林ほどもある屋敷の庭園には、他のれみりゃが何匹も住み着いている。それが、傷ついておいしそうな匂いを放つ獲物につられて、次々と飛んできたのだ。 「だーめ、れーむはだーめ! れーむいいれーむなのー!」 れみりゃはれいむを抱きかかえて植木の根元にうずくまり、周りの仲間に食べてはいけないと言おうとした。だが、言葉が足りなくて伝えられない。 襲うれみりゃのほうも、もともと相手のことなど考えないわがままな性格だから、嫌がられるとますます笑みを浮かべて取り囲む。 そしてとうとう、手を伸ばしてつまみ食いをはじめた。 「ぐにー、ぷちっ♪」「あっ」 「もーらいー♪」「ああっ」 「ぷにぷに、すきー♪」「あああっ!」 必死にかばうれみりゃの横から手を出して、れいむの頬をぷつぷつとちぎり取る。そのたびに、れみりゃの腕の中で、だいじな友達がびくびくと震えた。 「れーむ、れーむだいじょーぶー?」 「ゆゆっ……だ、だいじょうぶだよ。れいむゆっくりしているよ!」 れいむがそう言って見上げるが、頬のもちもちした皮はだいぶくぼんで、あんこが覗きかけている。 れみりゃは振り返って、やけっぱちに腕を振り回した。 「もお゛お゛お゛お゛、だーめーなーのー! たべぢゃだめえええええ!!」 「ひとりじめ、ずるーい☆」 「れみーもほしーのー」 「ずるっ子は、さくやにいっちゃうぞー♪」 にこにこ笑いながら仲間たちが近づき、れみりゃをどんと突き飛ばした。「んあっ!」と転がってしまった拍子に、仲間はれいむに覆いかぶさって、いっせいにむさぼり食おうとする。 「「「「「いただきまーす♪」」」」」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛、たべないでぇぇぇ!!」 れいむの絶叫が響く。 そのとき、木立の間から、すうっとひとつの影が滑り降りてきた。丸い頭の飛行ゆっくりだが、翼の形が違う。 そいつは、れいむを襲うれみりゃの一人に、がぶりと噛み付いた。噛まれたれみりゃがカッと目を見開いて悲鳴を上げる。 「にぎゃぁぁぁぁぁぁあ、ふ、ふらんきらいーーーーーーー!」 ゆっくりふらんの出現に、れみりゃたちは浮き足立った。れいむを放り出しててんでに逃げ始める。 その隙に、れみりゃはれいむを抱き上げ、再び飛び上がった。 その日の夕方、追いすがる他のれみりゃたちをようやく撒いて、二人は幻想郷のどことも知れぬ森に逃げ込んだ。 魔法の森とは違って、生き物の気配がしない森だ。ただ深閑と静まり返って、ちくちくした霊気が漂っている。その霊気は二人にとって不快だが、我慢するしかなかった。ここから出たら、またあいつらが襲ってくるに決まっているのだ。 れみりゃは倒木の陰になったくぼみを見つけて、逃げ込んだ。ようやく落ち着くことが出来て、れいむがほっとしたように言った。 「ここならゆっくりできるね!」 「ゆっぐぅー♪」 二人は無理してにこやかにそう言った。 二人とも、あえて現実から目をそらしていた。 れいむの体はあちこちが食いちぎれられて、でこぼこになっているのだ。ゆっくりできるわけがない。 それにれみりゃのほうも、今朝ごはんを食べたきりで、おなかがすいていた。 日が暮れると、座り込んだれみりゃのおなかが、ぐうぐうと盛大に音を立てた。一日中追い掛け回されて、いい加減疲れきっていたれみりゃが、愚痴を漏らし始めた。 「れみー、おなかすいたー……」 「ゆぅ、れいむもだよ」 「ぷいん、たべたいなー……」 「ゆぅ……」 「ぱっふぇー……とるて……あいすー……けーき……」 「それはおいしいもの?」 「すっごく、おいしいものー。うぅ、さくやぁ……」 れみりゃにとって、紅魔館の庭園は絶対の安住の地だった。おなかがすいても、そこに帰れば咲夜か妖精メイドが何かしら与えてくれた。 「れみぃ、おうちかえりたい……」 紅魔館に帰れないと頭ではわかっていても、しみついた習慣は簡単に抜けるものではない。れみりゃはふらふらと出て行こうとした。 スカートの裾を、れいむがくわえてけんめいに引っ張った。 「ゆ、おうちはだめだよ、たべられちゃうよ!!!」 「うう゛ー」 れみりゃは泣き顔になったが、かろうじて危険を思い出した。ぐしぐしと小さなこぶしでまぶたをこすって、うなずく。 「ん、おうち、やめう……」 「ちかくで食べ物をさがすといいよ!!!」 「たべもの、さがしてくぅー」 れみりゃは倒木の下から這い出して、飛び上がった。 「うまうま、ないかなー」 だが、その森には動物やゆっくりがまったくいなかった。見つかったのはいくらかの木の実や山菜、きのこだけ。だがれみりゃには、それらが食べられるものなのかどうか、わからなかった。 飛んでいるうちに、幼いれみりゃの頭には、楽天的な想像がわいてきた。 ――さくや、おむかえにきたかなー。 ――れいむが、うまうまもってきたかな。 ――なんにもなくても、ゆっぐぅーすればいいやー。 すると、なんとかなるような気がして、れみりゃは倒木のところへ舞い戻った。 「れーむー♪」 「ゆゆっ、れみぃ、なにかみつかった?」 れいむが出てきた。れみりゃは、彼女を押し戻すようにして、倒木の下へ入る。きっとなにかがあるはずだった。さくやかれいむが食べ物を見つけているはずだった。 だが、そこには何もなかった。乾いた土に囲まれて、落ち葉の積もったくぼみがあるだけ。 それは当然なのだが、今までほとんど苦労もなく可愛がられてきたれみりゃには、大きなショックだった。 ゆっくりたちに袋叩きにされ、れみりゃたちにもいじめられ、一日中逃げ回った苦労が、ずっしりと効いてきた。 後からきたれいむが気を使うように聞いた。 「れみぃ……なんにもみつからなかった?」 「ううう…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、あ゛ーーーーーーーーーーー!」 れみりゃはとうとう泣き出した。 「あ゛あ゛あーーー、おなかずいだぁぁぁぁ、あ゛ーーーーーーーーーーーーーー!!!」 立ち尽くしたまま思い切り口を開けて、ひたすら泣きわめく。 「あ゛ーあ゛ーあ゛ー、あ゛ーーーーーーーー! もう、や゛ーーーーーーーーー!!! いだいーーーー!!! づーかーれだあああああ!!! ね゛ーーーむ゛ーーーいーーーーー!!!! おながずいだのおおーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 ねたいねたいねたいねたいねたい、ねだーーーーーーーーーーーーーい!!!」 「れ、れみぃ、ゆっくり……」 振り向いたれみりゃは、れいむをにらんだ。たかが彼女一人を助けようとしたから、こんな目に遭うことになったのだ。憎悪が膨れ上がった。抑えきれずにぶつけた。 「れーむの、ばかぁぁぁぁぁ!!!」 肉まんの顔を真っ赤に染めて、やわらかなぷにぷにした手で、れいむをぶつ。 何度も何度も、べちべちとぶちまくった。 「ゆ、いだっ、いたいよ、れみぃ」 「ばぁーーーーーーーかーーーーーーーーーーーーー!!! あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」 「やめっ、だめ、れいむつぶれちゃ、だっ、だめっ!」 思わず、だろう。れいむがびょんと跳ねた。 それがれみりゃの顔面にまともに当たった。れみりゃは後ろへころんとひっくり返り、壁でぼにょんと頭を打つ。 そのまま立ち上がる気力もなく、れみりゃは火がついたように喚き続けた。 「 あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!! あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!! うあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」 そしていつしか、疲れ果てたれみりゃは大の字に眠り込んでしまった。 ちょろちょろと水の流れる音、湿った冷たい空気を感じて、れみりゃは目が覚めた。 「う゛ー……?」 「ゆっくりねた? れみぃ」 すぐ隣に、依然としてれいむがいた。前方には、外の景色が見えた。 大粒の雨がばらばらと降っていた。 「あめ!」 「ゆっくり降っているよ!!!」 れいむが言ったが、その口調には何かやけになったようなところがあった。 ゆっくりれいむも、ゆっくりれみりゃも、雨が苦手だ。多少なら大丈夫だが、十分も動き回ると、体がぐずぐずになってしまう。 だから、雨の日は外に出られない。 しかしこの場合、それは飢えとの戦いを意味した。 丸一日以上何も食べていないれみりゃは、目を覚ましたものの、朦朧としていた。肩が接するほど近くにいる友達のことが、やけに気になった。 ぴとぴとと頬に触れて、揉んでみた。依然としてでこぼこしてはいたが、もちもちとして、とても魅力的な肌触りだった。 ――うー……。 もちもちとれみりゃはれいむの頬を揉み続けた。れいむが目を細めて、つぶやいた。 「ゆゆ~、くすぐったいよぉ」 れみりゃは顔を近づけた。かすかに甘い香りがした。舌の付け根から唾が湧いてきて、口の中が濡れた。ごくっ、と唾を飲み込んだ。もちもちとつまむ指に、力が入った。 「どうしたの? れみぃ」 れいむがぐるりと振り向いた。彼女と目があった。れみりゃは急に、とても悪いことをしていた気分になった。おびえるように後ずさった。 「ううん、なんにもー……」 「れみぃ、へんなの!!!」 れいむが笑って、向こうをむいた。 れみりゃはしばらくの間、膝を抱えて奥を向いていた。 雨は降り続いた。灰色の光に満ちていた森が、だんだん暗くなり、やがてそのまま夜に滑り込んでも、まだ降っていた。 れいむがれみりゃのほうに寄ってきて、言った。 「下がぬれてきたから、ゆっくり奥によってね!」 「うぅ」 れみりゃは生返事をして、体を縮めた。 おなかが減っていた。猛 烈 に減っていた。生まれてこの方、二日間何も食べなかったことなど、一度もなかった。昨日までぽっこりしていたおなかに触ると、服がべこべこと余っていた。あまりの空腹に、自分のお肉まで減り始めているのだ。 「うぅぅ……おなが……ずいだ……」 れみりゃはだらだらと泣き続けた。「れいむもだよ!」という、小さな叫びが聞こえた。 眠ったのか、気絶したのか、わからない。れみりゃは一度、意識を失った。 次に目覚めたのは、まだ夜が明ける前だった。空腹感を通り越して、しくしくと差し込むような痛みが腹部を襲っていた。寝てなどいられなかった。 れみりゃは外を見た。雨は、こちらの切なる願いなど知らぬげに、今でもまだ降り続いていた。今日も食べ物が手に入る見込みはなさそうだった。 このままだとまずい、という危機感が、際限なく膨れ上がっていた。 なにか食べないと、死んでしまう。 ほんとうに、しんでしまう。 死ぬのはいやだった。涙でぐずぐずになった顔で、れみりゃは弱弱しくいやいやをした。 その拍子に、顔がもちもちしたものに触れた。 「あ……ぶっ」 反射的に、食いちぎった。口の中に、ぽろりとかけらが落ちてきた。もぐもぐと噛むと、味が染み出して、唾液に混ざった。じわぁ、と舌の付け根が震えた。 甘みがこれほど嬉しいとは、知らなかった。その味は腹に染み渡り、喜びとなって体の隅々まで伝わった。れみりゃの頭は、あっという間にその味で染まった。強烈な欲求が湧き起こった。 たべたい。 たべなきゃ。 たべる。これ、たべる、たべて、もぐもぐして、おなかいっぱいになる。 「ああーん――むっ!」 「ゆぐっ!?」 二口目を噛み切ったとたん、声が聞こえた。それを耳にしたれみりゃの心に、悲鳴のような叫びが起こった。 ――これ、れーむ! おともだちのれーむ!! 自分が友達を食べていることに気づいて、れみりゃは凍りついた。 ともだち。 いっしょに遊んだともだち。 助けてくれた、なかよくしてくれた。 たべると、いなくなっちゃう。 凍りついたまま、れみりゃはぼろぼろと泣き始めた。奇怪なことに、声はまったく出さなかった。ただ笑顔のままで目尻から大粒の水をこぼし続けた。 それは葛藤の涙だった。 片方に、命に関わるとてつもなく強い欲求がある。 片方に、命をかけて助けた友達がいる。 どちらも、れみりゃの手には負えないほど重いものだった。その二つにのしかかられて、れみりゃは泣くことしかできなかったのだ。 その時、小さなささやき声が聞こえた。 「いまの、れみぃ?」 「……れーむ」 「れみぃ、おなかすいたよね。ゆっくりがまんしていたよね。れいむを抱っこして、あんなにいっぱい、飛んでくれたもんね」 れいむは振り向かなかった。頬を向けたままで、ぽつりと言った。 「ちょっとだけだよ」 「れーむ?」 「――ゆっくりたべてね!!!」 頬がかすかに、震えていた。 れみりゃは最初、相手の言っていることがわからなかった。たべて、という言葉の意味すら忘れていた。 やがてそれをじんわりと思い出すと、そっと手を伸ばして、またひとつかみ、頬をちぎった。ぶるっ! とれいむは震えたが、何も言わなかった。 それを食べ、飲み込んだ。 おいしかった。今まで食べたどんなゆっくりよりおいしかった。 もう止まらなかった。れみりゃは大きく口を開け、れいむの頬にかぶりついた。ひと口、ふた口、み口。よく噛んで、飲み込んだ。しくしくと痛んでいた腹に、やわらかなものが落ちていって、しっかりと溜まった。そこが目覚め、活発に動き出した。ぎゅるるるぅ、と音がした。 もっと食べたかった。もっともっと。何口でも。おなかいっぱいになるまで! れみりゃは恐ろしい勢いで、食い進んだ。ひと口かじるたびに相手は震えていたが、やがて震えが止まらなくなった。ぶるぶると震えっぱなしになった。頬を食っていたれみりゃは、食べにくくなったので、前へ回ろうとした。 きつくきつく歯を食いしばったれいむが、目を閉じて声もなく泣いていた。その顔は、普段の白い顔色とくらべても、なおぞっとするほど青白かった。 それを目にしたれみりゃは、動きを止めた。 自分が食っていた頬に目を戻した。そこにはすでに、りんごが入りそうなほどのくぼみができていた。それどころか中心部では皮を食い破って、餡子にまで達していた。 れいむがふと目を開け、細かく震えたまま、尋ねた。 「も、もういいの?」 「う、うー……」 「じゃあ、ゆっくりするね!」 そうつぶやいてすぐ、れいむは目の焦点を失ってしまった。丸い体から力が抜け、穴の開いた風船のようにぐったりとしぼむ。 痛みのあまり気絶してしまったのだ。 「れーむ、れーむれーむ!」 れみりゃは自分がどんなにおろかなことをしてしまったのかに気付いた。ゆっくりを餡子が見えるようなところまで食べてしまったら、瀕死になるのは当たり前だ。数え切れないほどゆっくりを食べてきたのに、そんなことも忘れていた。れいむなら大丈夫だと思っていた。大丈夫だから食べてと言ったのだと思った。 そんなわけがない、れいむだって食べられれば痛いのだ。苦しいのだ。けれど、れみりゃが好きだから、食べさせてくれたのだ。 それなのに自分は、ちょっとだけと言われたのに、われをわすれて、がつがつとむさぼってしまった。ひとりしかいない友達を! ぐったりしたれいむを抱きしめて、れみりゃは穴を押さえようとした。だが、力をかけてしまったために、かえってそこから餡子がどろりと漏れ出した。れみりゃはパニックになり、彼女を抱いたまま、くぼみから出てうろうろと歩き出した。いつの間にか雨はやんでいたが、それにも気付かなかった。 「れーむ、れーむ、しんじゃだめ!」 歩き出したのは、咲夜に助けてもらうためだった。だが少し行ったところで、紅魔館に近づけないことを思い出した。紅魔館がダメとなると、もうどこへ行ったらいいのかわからない。だがくぼみに戻ると、また閉じこめられて、おなかが空いてしまう。 木の根に足を取られて、どぺんと転んだ。ごろんごろんとれいむが転がる。あわててかけよって、助け上げた。泥まみれになって、ひうひうと隙間風のような息を漏らしていた。それをみるとますます切迫した気持ちになって、れみりゃは短い足で必死に走り出した。 「れーむ、れーむ!」 知る人が見れば驚いたろう。ゆっくりれみりゃと言えば何よりもわがままで泣き虫で、少しでも困ったことがあると、ひっくり返って泣きわめくしかない役立たずだ。 それが、必死の顔で泥まみれのゆっくりれいむを抱きしめて、自分も泥と湿気でぐちゃぐちゃになりながら、一心に森の中を走っていくのだから。 何度も転び、れみりゃ自身の皮もどよどよに溶け始めた。それでもれみりゃは止まらなかった。何 か を し な き ゃ と強く思っていた。何をすればいいのかわからないけれど、とにかく泣きわめく以外の何かを。 幻想郷には、神様がいる。――あるいは、その一人がたまたま、目をかけてくれたのかもしれない。 「うあっ!?」 十何度目かにれみりゃが転んだ時、その先には、地面がなかった。ゆるやかな下り坂がどこまでも続いていた。れみりゃは頭からつんのめって転がりだした。 「うあーーーーーーーーーーっ!?」 悲鳴を上げてごろごろ転がりながらも、れいむだけはしっかり抱きしめて離さなかった。 こわい犬をやっつけてくれたれいむ。 鬼ごっこや隠れんぼを教えてくれたれいむ。 いっしょうけんめい、ゆっくりの仲間に加えてくれようとしたれいむ。 ほっぺたを食べさせてくれたれいむ! れみりゃは、他のどんなれみりゃにもありえない根性で、れいむを守り抜いた。 石にぶつかり、木の枝にひっかかり、泥と落ち葉と虫にまみれて、どろどろのぐちゃぐちゃになった状態で、れみりゃは斜面の下まで転がっていった。 木立が途切れ、平らな地面にたどりついた。玉砂利の上でバウンドして、さらにれみりゃは傷ついた。延々と転がって、石畳の上までたどりついて、そこでようやく勢いを失った。 最後に、木の柱にどんとぶつかって、とうとうれみりゃは停止した。 それでもなお、抱きしめたものだけは離さなかった。 やがて小鳥たちが鳴き始め、夜と霧が晴れていった。朝日が、そのぼろくずのようなものを照らした。 ザッ、ザッ、という音が近づいてきた。 箒の音だ。 それは、そばまで来ると動きを止めた。いぶかしげな声がした。 「……なんなの、これ」 その声は奇跡的に、れみりゃの耳に入った。れみりゃは丸めた体をごわごわと伸ばし、抱いていたものを声のほうに押し出した。 「……ゆっ、ぐぅ……」 「うわ、しゃべった。――なに?」 「ゆっぐぅ、させ……て」 「……ゆっくり? これゆっくりなの? ――ほんとだ、リボンないけど私のと同じゆっくりだ」 その言葉のあとに、驚いたような叫びが上がった。 「って、あんたレミリアのゆっくりじゃない!? なんでそんなのがコレ抱っこしてんのよ? あんたらって、この子を食べるんじゃないの? ねえ、ちょっと!」 ゆっくりれみりゃは、気絶した。 「お邪魔するわね。……って、これ、何かしら?」 「それ私と同じリアクション」 「いえ、あの、本気で……。これは雑巾? それとも牛の糞?」 「ゆっくりよ。レミリアの」 「ええ? どれどれ……あら、本当。ゆっくりね。いわゆるゆっくりれみりゃかしら。一応生きてはいるみたい。どうしたの、紅魔館から盗んできたの?」 「自分で来たのよ。神社の裏に」 「へぇ。それとこっちは……ゆっくりれいむね、このふてぶてしい顔は」 「モデル本人を目の前にしてそういうこと言う」 「あら、不愉快? 同じのをペットにしてるぐらいだから好きなのかと」 「ペットと同じ顔と言われて喜ぶ飼い主は多くないと思うわ」 「ふふ、そうかしら。……それにしても、よくもここまで汚れたものね。泥どろのぐちゃぐちゃじゃない。洗濯機に十回ぐらい放り込んでもまだ綺麗になりそうもないわ。あら、でもそんなことをしたら型崩れしてミンチになってしまうわね」 「のんきなたとえ話をしてる場合じゃないわ。早く治してよ」 「治す?」 「ええ」 「何を?」 「ソレとソレを」 「誰が?」 「何のためにお医者を呼んだと思うの八意先生」 「この小汚い生き物未満食品以上を、私が?」 「そう言われるのは想像がついてたけれど、そこを曲げてなんとかしてほしいのよ。私だってこんな小汚い妖怪未満物質以上に触りたくないけれど、そいつは別なの」 「別って一体どういうことかしら」 「ちょっとね。ただの感傷よ。――でも、こう言えばあなたにもわかるかしら? その子は、そっちの子を抱えて、裏の山の上から転がり落ちてきた。自分の身を省みず」 「……」 「どう?」 「……ま、珍しい例だから、やってあげなくもないわ。その代わり――」 「はいはい、お代ね。どうぞ」 「何かしら」 「お呼び出しチケット三回分。永遠亭に誰か厄介者が来たら、引き受けてあげる」 「……お父さんの肩たたき券か」 「そう言わずに」 「転売するという手もあるわね。買い手は多そう」 「するな!」 暖かい日差しを浴びて、ゆっくりれみりゃは目を覚ました。白い紙の壁を透かして、明るい陽光が差している。紅魔館ではついぞ見かけなかった、不思議な壁だ。それが「障子」というものだと、その後長く暮らすうちにれみりゃは知る。 畳に置かれた、段ボールの箱の中だ。下には清潔なタオルが敷いてある。体のあちこちがずきずき痛む。だが手で触れると、どの傷にも丁寧に膏薬が張られていた。三日も経たないうちに傷は塞がる。 身を起こすと、そばに皿が二つおいてあった。水の皿と、白いドロドロの入った皿。張られた符がぼんやりと光を放ち、中身の温かみを保っている。「おかゆ」という言葉を、れみりゃはこれから三十分以内に覚える。 食べ物だ。そうと気付いた。 しかし、それに手を伸ばすより早く、れみりゃは大事なもののことを思い出した。きょろきょろと周囲を見回して、叫ぶ。 「れーむ、どこー!?」 「ゆっ?」 室内に置かれていたもうひとつの箱の中から声がして、ぴょこりと丸い頭が覗いた。 「ここだよ、れみぃ!」 「れーむ!」 れみりゃは食べ物を後回しにして、ひと跳びにそちらの箱に飛び込んだ。見れば、れいむの頬にも膏薬が張られ、あの忌まわしい傷がきちんと塞がれていた。 れみりゃは彼女を抱き上げておそるおそる言う。 「れーむ、ごめんね! いたいいたいして、ごめんね?」 れいむはにっこり笑って答える。 「いいよ、れみぃ! れみぃがげんきで、ほんとによかったよ!」 れみりゃはしっかりれいむを抱きしめる。ばいんばいん、ととても元気に友達は跳ねた。 廊下でそれを聞いた紅白の巫女が、腕に抱いた自分のゆっくりと顔を見合わせる。 「ゆっくりしていってね、と」 それから博麗神社での暮らし方を教えるために、障子を開けて入っていった。 fin. ================================================================== ああ長引いたっていうか、これゆっくりを愛でてねぇー! ゆっくりがイヤというほど苦労する放浪譚でした。 食い合う関係って素敵ですよね。 なお、この話の巫女と神社は、某少女隊氏のところの設定に合わせました。 YT ================================================================== 泣いてしまった -- nobody (2008-09-16 12 03 28) 涙が出た、よい作品をありがとうです -- ine (2008-09-23 11 58 53) れみりゃとゆっくりの葛藤モノ、作品として珍しいのでまたこういうの是非みたいです~ -- ine (2008-09-23 12 46 31) アニメの狼と羊を思い出した -- 名無しさん (2008-09-28 00 39 38) 全 俺 が 泣 い た -- 名無しさん (2008-10-25 12 13 36) 『あらしのよるに』を思い浮かべたのは自分だけじゃないはず -- 両刀お兄さん(虐待と愛での) (2009-01-22 16 50 04) 泣いた -- 名無しさん (2009-08-05 17 06 55) いい話だ・・・ -- 名無しさん (2010-06-03 14 01 37) 『あらしのよるに』以外のたとえ方を俺に教えてくれ -- 名無しさん (2010-06-07 20 54 09) 切なくも良い話。ハッピーエンドで良かった。 -- 名無しさん (2010-11-27 14 13 46) すまん皆言わせてくれ 群れのゆっくりどもストレスがマッハだ -- 名無しさん (2011-04-27 18 41 31) いい話だ···全編朗読しようとやってみたら3割読んだところでろれつが回らなくなってギブしたwおそるべしww。 -- 名無しさん (2011-10-24 22 06 39) よかったー!!!! -- 名無しさん (2012-06-04 01 45 51) 駄目だ。やはりれみりゃは嫌いだ -- 名無しさん (2012-12-29 01 42 37) 名前 コメント
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『紅い月に吠える』 赤い満月の夜に、大量に現れたれみりゃとふらん。それらは世界の終わりを告げる悪魔か、世界に救いをもたらす天使か。 予言された"終末の日"は近い…。 「うー♪ うー♪」 「だど、だどぉ♪」 「…」 私は家でゴロゴロしながらテレビを見てゆっくりしていたのですが、気が付いたら目の前に可愛いおちびちゃんたちが遊びに来ていたみたいです。一人は体がついていて、ぶきっちょなダンスを踊っています。かわいいなあ。 …少し目を離しただけなのに、この子たちはさもずっと居たかの様に胸を反らせてそこにいました。 やはり私にとってゆっくりは、未だに謎に包まれた存在のようです。どうやったらそこまで正確に一瞬の隙を付けるのでしょうか。 「うー♪ おねーさんは、ゆっくり出来る人?」 体のついていない、背中に何やら宝石の様な生えたゆっくりが話しかけてきました。何やら私の顔色を伺っているようで、びくびくした様子です。 体が付いたゆっくりも、不安そうな目をしています。 二人のゆっくりには悪いのですが、その様子すら可愛いです。 「…大丈夫ですよ。私はゆっくり出来る人です」 私がそう答えたら二人は安心したのか目をトロンとさせ、すぐに跳ねあがり歓喜の声をあげました。 私は、その様な様子の二人に言いました。 「ふふ。ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 『自己紹介』 「じゃあ、自己紹介でもして貰おうかな。そっちの体のおちびちゃんは、どなたさんですか?」 「うー? れみぃはれみぃだど! こーまかんのおぜうさまなんだど~♪」 体つきのおちびちゃんは何やらちょっとわからない事を喋り、手を頭まで挙げて何やらダンスを始めました。 いちいちもたついている所がなんともかわいいですね。 「うー! そんな説明じゃあ、おねーさんがわかんないよっ! ゆぅ、ふらんはふらん! おねーちゃんと一緒にお外に出たらここに来たんだ、よろしくね!」 きちんと挨拶が出来て、偉いですね。私は、ふらんの頭を撫でてやります。 それにしても、姉妹だったのですか。おねーさんとおねーちゃんの違いが少しわかりにくいですね。 れみぃ? が姉で、ふらんが妹かな。確かに二人とも面影があるように見えますね。 ふらんは嬉しそうに羽をパタパタさせて笑顔を浮かべています。対称にれみぃ? の方は『私もやって!』と言わんばかりに目を吊り上げて体をずいっと私に近付けます。 「はいはい、撫でてあげますよ。お前は、れみぃでいいのですか?」 「うー♪ おぜうさまのれみぃの頭を撫でられるなんて、特別なんだどぉ♪ れみぃはれみぃでいいんだどぉ!」 「違うよ、おねーちゃんはれみりゃでしょ!」 「うー…?? れみぃ、わかんないどーっ!」 「もうっ、しっかりしてよおねーちゃん!」 妹に叱られるお姉さんの図があまりに絵になっていて、思わず笑ってしまいました。 はたから見るとふらんの方がしっかりしていて、お姉さんにみえますね。 「ともかく、れみりゃとふらん! これからよろしくお願いしますね」 「うっうー♪」 「だどぉ♪」 『プリン』 私は今日の家事を全て終わらせ、至急台所の冷蔵庫へ向かいます。何故か? 理由は一つです! 「うふふ…、このキンキンに冷えきったプリン!! 神社に居たときはいつも何だ間だで妨害されて、食べれずじまいでしたが…。 今日こそ! 誰にも邪魔をされずに食べる事が出来るのです!!! れみりゃたちは寝てるよね…、寝てた。タオルケットお腹にかけて仲良く眠ってる。かわいい」 冷蔵庫の前で一人馬鹿みたいな独り言を喋る自分に自己嫌悪しつつ、食器棚からスプーンを取り出してテーブルに座ります。 いざ、プリンオープン! べらあと綺麗に蓋がとれていき、同時にその肌の色を表す至福の時! 親父が脱衣麻雀が好きな理由も頷けますよ! 完全にプリンが肌を表してその均一なる大地を掬おうとした、その時でした! ぐぎゅるるるる~… 「ぬおっ!?」 来た、来ちゃった、来ちゃいましたよ! 3日に一度のお通じが、ああっ! トイレに行きたい! でも、ここでトイレに行ったら一生プリンにありつけないような気がする、ぐぬぬ…! 「やむをえないっ!」 私は泣く泣くその場でのプリンを諦め、隼の如く速さでトイレに駆け込みました。ああ、この瞬間も至福の時だし、どうでもいっか…! 「うー、おねーさんの声がうるさくて起きちゃったどぉ…うー?」 少女便所中… 「さーて、麗しのぷっりっん~っと♪ …ん、無い? な、無い!!? そんな!」 無い、無いんです! 予想はしてたけど、確かにテーブルの上に置いてあったはずのプリンが、スプーンだけ残して颯爽とどこかへ消えてしまいました! 一体何があったと言うのですか! 「…うー? おねーさん、どうしたんだどぉ?」 ふと、寝ていたはずのれみりゃが話し掛けて来ました。 れみりゃは起きたてなら目を擦りながら話し掛けてくるはずなのに、今はそれがないんです。まさか、れみりゃが…? 私は、質問に答えながら注意深く辺りを見回します。 「私のプリンが無いんですよ! せっかく有二屋で買ってきたのに! …あーーーーーーーっ! テーブル下に有るのは、有二屋のプリンのカップ! さてはお前たち、食べましたねぇ~!」 やはり嫌な予想だけは当たるもので、見事テーブルの隅っこに空に置かれているカップを発見しました! 几帳面に、カラメルソースまで無い! これは間違いなくれみりゃたちの犯行ですね、現行犯で逮捕します! 「うっ、うううーっ! ごめんなさいおねーさん! ふりゃんと一緒にあまあましてたのだー!」 「ゆうう、ごめんなさい~!」 「…ふう。まあ、いいですよ。気が付いているんです、私はプリンがどうしても食べられない星の元に産まれて来たんだって。 何をどう工夫しようが、最後には他の人たちの胃袋にプリンは行ってしまうのです」 「お、おねーさん…?」 れみりゃとふらんが何の話をしているんだと言う顔付きで私の顔を覗き込んできたので、私は二人の頬をぷにりと触ながら外に出るための財布と防寒具の準備をします。 「まあ、おやつを一人占めしようとした罰でもありますしね。3人で、パフェでも食べに行きましょうか」 きっと、欲張りすぎたから神様から罰が当たったんです。おいしいものは、皆で共有しないとね。 「う、いいの? やったー!」 「うっうー♪」 二人の笑顔をみると疲れも吹っ飛ぶというものです。さあ、行きましょうか! 私はおちびちゃんたちの手を引き連れて、近くの喫茶店へ向かいました。 『けんか』 「う゛ーっ! う゛ーっ!」 「うー! うー!」 和室でお昼寝をしているはずの二人の部屋がうるさいから様子をみてみると、なんと二人がけんかを始めているではありませんか! まあ、とは言ってもこの時期のけんかというのは大切な事ですからね。二人には悪いですが可愛らしいですし、遠目で眺める事にします。ううん、悶えるなあ。 …よくよく観察していると様子がおかしい事に気が付きました。先程からずっとふらんの方がれみりゃを叩いていて、れみりゃはというとうーうー泣いていて頭を縮こませて耐えている一方では無いですか! 私はたまらず足を踏み出します! 「こら、ふらんっ! やめなさい!」 「う゛、…う゛ー゛っ゛!゛ お゛ね゛ー゛さ゛ん゛!゛!゛!゛」 「うう…、…ぷんっ。おねーちゃんが悪いんだからね、ふらんに意地悪したおねーちゃんが悪いんだいっ!」 「うーん、それでも暴力に訴え出る事はやってはいけない事ですよ、ふらん! …れみりゃ、どうかしたのですか? お前が何かしたのですか?」 「う゛ー、れ゛み゛ぃ゛悪く゛無いも゛ん゛っ!」 れみりゃは嫌々のポーズを体に表してとうとう私の膝の上で泣き出してしまいました…。これは、当人から事情を聞くしかありません。 「ふらん、お前が暴力をふるうということは何かひどい事をされたのでしょう、何をされたのですか?」 「うー、おねーちゃんが、寝ているふらんのほっぺを叩いてきて…、う、う゛え゛え゛え゛ん゛!゛!゛!゛」 すると、ふらんも泣き出してしまい私の胸にうずくまってしまいました。 …大方、寝惚けていたれみりゃが間違いでふらんの頬を叩いてしまい、それにショックを受けたふらんがれみりゃを一方的に押し倒した、という所でしょうね。 私の目下ではやや落ち着いたのでしょう、涙目になりながらも二人が『ばーか!!』とやじを飛ばしあっています。 ああ、子供のけんかというのも可愛らしいなあと新たな発見に感動するのも束の間、私はれみりゃとふらんを向き合わせます。 「ほら、二人ともお互いを見て! 薄々お互いに悪かったって気が付いているのでしょう? 仲直りです」 「…うー」 「…ぷいっ」 中々素直になれないみたいで、二人は目をあわせようとせずそっぽを向いてしまいました。しかし、その様子も次第に変わっていき、最後には二人とも小さな声で『ごめんね』を言いあいました。 仲直り出来て、よかったですね! …それにしても、姉より腕っ節の強い妹かあ。新しい、自分の性癖を発見したような気がします。 『かくれんぼ』 「うー! おねーさん、かくれんぼしようよっ!」 テーブルに座り縫い物をやっている私の膝にふらんが乗っかってきて、かくれんぼをしようと言ってきました。 やることもないし、別にいいですよ。でも、どこでするんですか? 「うっ、もちろんおねーさんの家でだよ! んもー、わかってる癖にいっ」 このこのと嫌に体を押し付けてくるふらんの頬をつねりながら、私は危なくないか考えます。 うーん、家の中でか。二人とも、特にれみりゃ。何か物を壊さないかな? あ、いや。待てよ? ふらんが一人で私を誘いに来たということは、れみりゃは既に隠れてるということですかね…? 「ふらん! れみりゃはもう隠れているのですか?」 「うっうー! その通りさっ! ふらん、じゃんけんで負けて鬼になっちゃって…。おねーさんも誘えば、仕切り直しになるかなって思って!」 なるほど。子供的で可愛らしい考えですね、思わずふらんを抱き締めちゃいます。 それにしても、じゃんけん…? れみりゃは手がついているから分かりますが、果たしてふらんはどうやってじゃんけんを行うのでしょうか? 興味を持ちました。 「ふらん、私とじゃんけんをしませんか? このじゃんけんで負けた方が鬼です」 「うっ、いーよ! さーいしょはグー! じゃんけん!!」 もう始まったのですか! 私は急いでチョキを出しました、するとふらんは 「んー!」 と可愛らしいお口を紡ぎました。そして、『やった、勝ったあ!』と嬉しそうに笑顔を綻ばせてぴょんぴょん床に跳ねました。 なるほど、今のがふらんのじゃんけんなのですね、チョキが半開き、パーが開くといったところでしょう。違いがわかりにくくもめやすいのが難点ですね。 同時に私の鼻の奥が熱くなって、チリチリと舌に鉄の味が広がりました。 …むっちゃかわええ!!! 「うっ、おねーさんが鬼だからふらんの事探してね! じゃあ、あとでね!」 ふらんはそそくさと居間を出ていきどこかに隠れてしまいました。 まあ、この家、そもそもマンション自体一人暮らし用のマンションで広さは1LDKほどしか無いので、すぐに見付かるでしょう。 私は座りっぱなしで重くなった腰をあげ、二人を探しに向かいました。 『かくれんぼ 2』 「8、9、…10! もーいいですか?」 「いいよー!」 「うっうー♪」 私はわりかし小さめの声で二人に呼び掛けたのですが、すぐに返事が返ってきた事から近くにいるんだなと考えました。 家自体が狭いとはいえ、せめてもう少しくらい遠くに行けばいいのに、おバカさんなんだから! まあ、そこがまた堪らなくかわいいのですけどね。 「じゃあ向かいますよ…、あ!」 早速見付けました、おちびちゃんのお姉さんの方です。 れみりゃは居間を出てすぐの和室の押し入れに隠れたつもりなのでしょうが、可愛らしいお尻が丸々出ていて隠れきれていません。 そのお尻すら、私の『あ!』と言った声に反応してもぞもぞと動いている始末です。うーん、かわいい。 押し入れに無理に潜り込んだため、布団もぐちゃぐちゃになっていますし…。あーあ。これは、かくれんぼが終わったら畳み直さないといけませんね。 私はぷりちーなヒップのれみりゃの背中をポンポンと優しく叩きながら、見つけたことを伝えます。 「れみりゃ、みーっけ」 「う? …うー!! 何で見付かっちゃうのー!?」 「そりゃあ、お尻がはみ出るどころか全部出ていては見付かりますよ」 「そんなこと無いもん! れみぃの隠れ家は完璧なんだどぉ…、うー? あっ、お尻が隠れてないどー! 通りでスースーすると思ったど!」 どうやら本人は気が付いていなかったらしく、押し入れに入った布団からもぞもぞと出ると、舌を出してのウィンクを貰ってしまいました。 鼻血もんです、このまま叶う事なられみりゃを抱き締めながら頬を甘噛みしたい欲求に駆られましたが、そうも行きません。 まだかくれんぼは始まったばかりで、ふらんが隠れているからです。 そもそもお前があまりに見付かるのが早すぎたのですよ、れみりゃ! 「うー? ニンゲン誰だって失敗はあるんだど、大切なのはそれを乗り越えて行くことなんだど! うっうー♪」 れみりゃは笑顔で得意気にいつものダンスを踊ります。なんてことのない、手を挙げる動作にすらもたついているのですからかわいい事この上ありません。 私はれみりゃを抱きかかえ頬擦りをしながら和室を出て、様々な場所を探しました。 玄関前、風呂場、それこそ居間のテーブルの下まで…。しかし、とうとうふらんを見付けることはできませんでした。 「ふらん、ふらん~。私の負けです、出てきてくれませんか~?」 「うー、ふりゃん! おねーさんを心配させちゃ駄目なんだどぉ、かくれんぼはおしまいだど!」 かくれんぼが始まってから既に一時間が経過しました。私とれみりゃは家中にふらんを呼び掛けて探しているのですが、一向に現れる気配が見えません。 まさか、外に出ちゃったのかな。事故に遭っていなければいいけど…。 いても立ってもいられなくなった私は近くの公園まで向かおうとれみりゃに呼び掛けようとしたときでした。 れみりゃが、『うー、いたどぉ!!』と大声をあげて私の手を掴みます。そのまま誘導されるがままに先程調べた風呂場にまで連れていかれます。 れみりゃが洗濯機に指を指すので、覗いてみるとそこには隠れている途中に眠くなったのでしょう、すやすやと眠るふらんの姿がありました。 「…全く。人を心配させて」 私は洗濯機に入ったふらんを私の胸に抱えながら和室まで持っていき、座布団とタオルケットを用意して簡易的にベッドを用意してあげます。 れみりゃも『れみぃも寝るどー!』とふらんの隣に元気いっぱいに寝転がったと思いきや、疲れていたのでしょう。すぐに眠りの世界に入っていったみたいです。お腹にタオルケットをかけてやります。 私も、眠くなってきちゃったかな。ぐちゃぐちゃになった押し入れからもう一枚タオルケットと二枚座布団を取り出して、それぞれ私の枕とれみりゃの枕にして頭を乗せてあげます。 おやすみ。ふらん、れみりゃ。二人の額に軽くキスをして、私は眠りにつきました。 『仕事』 「それじゃあ、れみりゃ、ふらん。行ってきますよ」 「うーっ、うーっ!」 「行ってくるんだどぉ♪」 今日は仕事の日です。私の仕事はいわゆる事務系の仕事で、忙しく無い時は自宅待機をしていても良いといった恵まれた職場環境なのですが、今は決算の時期。 猫の手も借りたいくらいに忙しく、こうして仕事に駆り出されて行くことが度々あるのです。 私は玄関までお見舞いに来てくれたおちびちゃんたちに別れを言い、外にへと出ました。 …今日は夕方まで帰ってこれないのですが、お昼ごはん、大丈夫かなあ。 一応チャーハンを炒めて用意したのですが、心配だなあ…。 「…さてと、ふりゃん! おねーさんがいない間、れみぃ達がしっかりして、おねーさんを安心させるんだどぉ!」 「うー♪ でも、何をすればいいの?」 「…うーん。 …うっ! そーだど! れみぃたちで、いつもおねーさんがやってる事をやればいいんだどぉ!」 「…いっぱいありすぎて、わかんないよ」 「うー…。やっぱり、れみぃたちが普段通りでいることが、おねーさんにとって一番良いことなんだどぉ♪」 「もうっ、おねーちゃんったら! それはそれとして、何をして遊ぶの?」 「うーっ! まずは、かくれんぼでもするんだどぉ♪」 「はーちぃ、きゅーう、…十っ! もーいーかいっ?」 「いいんだどぉ!」 「よーし、おねーさん! 一緒に…、いないんだった。おねーちゃんどこかな、あ。 …みっけ」 「うぅー!? なーんでれみぃは、こんなに早くみつかっちゃうんだどぉ!?」 「そりゃ、押し入れにお尻がはみ出てるからねぇ」 「うっ? まーたやらかしたどぉ! れみぃのぷりちーなヒップはとどまることを知らないんだどぉ!」 「…つまんないね」 「…うー」 「…他の遊びしようよっ、トランプとかさあ!」 「うー、いいどぉ! でも、れみぃトランプがどこにあるかわかんないどぉ…」 「ふらんも、わかんない…」 「…うー! お絵描きするのはどうだどぉ?」 「いいね! …でも、ふらんたちだけでやっても、褒めてくれる人がいないもん」 「うー…」 「…おねーさん、早く帰ってこないかなあ」 「…うー」 「…ぐすっ」 「うう、ふりゃん、泣くなどぉ…」 「只今帰りましたっ!」 私は玄関を開け、大声で二人にその旨を伝えます。 二人は大層驚いているようで、少しの間きょとんとしてすぐに『おねーさん!』『仕事は!?』と叫びつつ立っている私の膝に抱きついてきました。 こらこら、かわいいですね。私は抱きついてきた二人を抱き返しながらちょっと意地悪な返事を返します。 「ふふ。おちびちゃんたちは気にしなくてもいいのですよ」 どうもふらん達の様子が気にかかって仕事に熱が入らなかったので、上司の人に無理を言って自宅で作業することになりました! もちろん私は大急ぎで家へと向かい、ふらん達にただいまの挨拶をしたというわけです。 「ともかく、帰ってきたとはいえ私は忙しい身なのですぐに仕事に取り掛かります。しかし、トランプくらいでしたら一緒に出来ますよ」 「うっ、ほんと!? じゃあ、やろうよおねーさんっ!」 「うーっ、うーっ♪」 「はいはい、和室からトランプを持ってくるからちょっと待っていてくださいね」 『雪』 「うー、おねーさん! 雪が降ってるよ!」 「雪なんだど、雪だるまさん作るんだどぉ♪」 「どれどれ、お。本当ですね…。もう三月なのに雪が降るだなんて、珍しいですね」 二人はベランダ越しの窓からサラサラと降っている雪をはしゃぎながら見ています。曇天の空からの贈り物に、二人は大喜びです。 しかし、ここらの地理を考えると降り積もってもすぐに除雪されるか、そもそも地面が濡れていて雪も溶けているので積もる可能性の方が低いです。この雪も、あと数十分したらただの雨に変わり、しまいには晴れていくのでしょう。 二人の肩を落としてがっかりする姿が目に浮かびます。ううん、なんとかしてあげたいなあ。 「…二人とも。残念ですが、この雪は積もらない雪です。恐らく、雪だるまなどを作ることは出来ません」 「う、う!? そんなあ!」 「折角の雪さんなのに!」 「だから、今から外にいきましょう。雪が無くなる前に、少しでも触れておきませんか?」 「…うー!」 「うあうあ♪」 二人は私の提案に手をあげて喜んでいます。ああ、拒否されなくてよかった。 しかし、二人はそのままの薄着で外に出ようとします、こらこら。そのままでは風邪を引いてしまいますよ。 私は暇な時間を使って繕っていた黄色の毛糸のマフラーとてぶくろの防寒具を、それぞれれみりゃとふらんにつけてあげます。 初めてで、本を見ながら作ったので所々ぶきっちょになっています。二人とも、気に入ってくれれば嬉しいのですが。 「…うー♪ あったかいどぉ!」 「ありがとう、おねーさん!」 どうやら、色の好き嫌いもなく気に入ってくれたみたいです。思わずホッと胸を撫で下ろします。 ハンガーにかけてある白のトレンチコートとマフラーをはおい、おちびちゃんたちに長靴を穿かせます。私たちは、玄関から外に出ました。 マンションの通路沿いから見える雪の景色は、脆く儚いものでした。 ☆ マンションのエレベーターを降りて、近くの駐車場にまで来ました。昼の時間帯なら滅多に車が来ませんし、ここなら広く遊べると考えたからです。 「うっ、ちべたい!」 早速雪が額に当たったのか、冷たそうに目を尖らせるれみりゃ。対称に、雪を掴もうと必死に手と体を動かしているふらん。 どちらも思わず頬が無意識にあがり、にやけてしまうくらいにかわいいです。そして、マフラーを落とした時に大切そうに雪をはたいて、また付けてくれる心遣いが嬉しいです。 「ふふ、二人とも。雪はどうですか?」 「うー! 冷たいどぉ!」 「うー…。全然捕まえられなくて、ふらん疲れちゃった」 二人はそれぞれの感想を口にします。どれも素直なもので、思わず顔が綻んでしまいます。 「ふふ。二人とも、素直ですね。…冷え込んできましたし、家に戻りましょうか」 「うー!」 「うー♪」 私は顔が真っ赤なおちびちゃん達の手をてぶくろ越しに握りしめて、マンションのエレベーターに乗るためロビーへと向かって行きました。 『一人暮らし』 「うっうー! おねーさんって、他に家族いないの?」 おちびちゃんのれみりゃが風呂掃除中の私に話し掛けてきたので、私は質問に答えました。 「いや、いますよ。ただ、一人立ちしたので今は一人暮らしですが」 「うー、一人暮らし! 一人暮らしって事は…、いやん」 れみりゃは何を想像したのか、顔を赤らめて身をよじり、手を頬に当ててうっとりとした表情をしています。 全く、大体想像出来ますけどね。 「どうせ、彼氏がどうとかそういう事でしょう? わかってるんですよ」 私は風呂掃除に使っているスポンジをキュッと握り、れみりゃの額に軽い泡を付けてやりました。 「うっ、こしょばゆい!! おねーさん、彼氏とかいないの?」 「そうですね、今はいないです。強いて言えば、お前たちが彼氏ですかね、れみりゃ?」 「う、う? …―うううううううーーーっ!!!? れ、れみぃお外でおダンスしなきゃ! それじゃーねー!」 れみりゃは最初は言葉の意味を理解できなかった様ですが、理解したとたんにちゃぶ台を引っくり返した様に慌てて風呂場を出ていきました。石鹸でつるっと滑るのはご愛敬です。 全く、うぶなやつですね! そこがまた、堪らなくかわいいのですが。 「うー、ふりゃん! れみぃ、おねーさんの…。キャー!!!」 「???」 『プリン れみりゃサイド』 「…う~? ふりゃん、ふりゃん! うー!」 「うー? どうしたの、おねーちゃん…。ふらんまだおねむだよ、ビルゲイツでもいたの?」 「うー! 机の上に! ぷっでぃんがあるどぉー♪」 「ゆう、私には高くて見えないよ…。おねーちゃん、持ち上げてよ!」 「うー! お安いごようだどぉ♪」 「よっと、うっこいしょ! …うー、あった! でも、一個しか無いね」 「うー♪ ふりゃんが、食べるんだどぉ♪」 「うー? おねーちゃんは食べないの?」 「れみぃはおぜうさまだからいつでも食べられるんだど! それに、今はぽんぽんが痛いんだどぉ…」 「ゆう、それなら遠慮無しに貰うよ! はぐはぐ、もにもに…。しあわせ~!」 「うー♪ れみぃも、しあわせだどー!」 「…はあ、おいしかった! カップ、片付けなきゃ! …うーしょっと!」 「うー、ふりゃん何したんだどぉ?」 「プリンの容器を隠したんだい! …あ、おねーさんだ!」 「さーて、麗しのぷっりっん~っと♪ …ん、無い? な、無い!!? そんな!」 「…うー? おねーさん、どうしたんだどぉ?」 「私のプリンが無いんですよ! せっかく有二屋で買ってきたのに! …あーーーーーーーっ! テーブル下に有るのは、有二屋のプリンのカップ! さてはお前たち、食べましたねぇ~!」 「うっ、うううーっ! ごめんなさいおねーさん! ふりゃんと一緒にあまあましてたのだー!」 「ゆうう、ごめんなさい~!」 「…ふう。まあ、いいですよ。気が付いているんです、私はプリンがどうしても食べられない星の元に産まれて来たんだって。 何をどう工夫しようが、最後にはゆっくりたちの胃袋にプリン行くんだって」 「お、おねーさん…?」 「まあ、おやつを一人占めしようとした罰でもありますしね。3人で、パフェでも食べに行きましょうか」 「う、いいの? やったー!」 「うっうー♪」 「…おねーちゃん、ありがと」 「うー? れみぃ、素直に謝っただけだどぉ♪」 『叱られて…』 「こら、二人とも! あれほど洗濯物で遊んじゃいけないと言ったのに、何回言えばわかるんですか!」 「うー…」 「うー…」 ふとインターホンが鳴ったので、干している洗濯物を一先ずベランダに置いて玄関に出向きまたベランダに戻って来たのですが、そこで目にした光景は洗った洗濯物を振り回して遊ぶ肉まん二人でした。 目の前で叱られている二人はうなだれた表情で、しょんぼりしています。 このまま許してしまってもいいかなと思いましたが、この二人は何回も同じ事をしでかしているのです! ここは心を鬼にして、二人にとって死刑にも等しい宣告を下しました。 「全く、一回ならともかく何回も全く同じ事を繰り返すなんて! 今日のおやつは抜きです!」 「「!? うー!?」」 流石にショックだったのでしょう、二人とも目を丸くして驚き、そのままがくりと床に崩れ落ちました。かわいいと思ったのは秘密です。 反省したかなと思うと、今度は頬を膨らませてぶーぶー文句を垂れてきました。 全く、全然反省なんかしないんだから! 「何を言っても駄目です! これが嫌なら、今度から気を付けなさい!」 「…うー! れみぃ悪くないもん! れみぃはこーまかんのおぜうさまだから、何をやっても良いんだどぉー!」 「うー! うー!」 「あ、こら! 待ちなさいっ!」 空気に耐えられなかったのか、二人ともベランダを出てどこかへ行ってしまいました。 「もう、仕方ない子たちなんだから!」 私は文句を垂れながら二人が汚していった洗濯物を籠に入れ、また洗濯機に入れに風呂場へと向かいました。 ☆ ふらんたちは、アテもなく町をただぶらぶらとさ迷って、近くの土手にまでたどり着きました。 土手の向こう岸の太陽さんが皮肉にも町全体を賛美するかの様に真っ赤に照らしていて、ふらんは嫌な気分になりました。 「…うー。」 「…ふんだ。おねーさんが悪いんだもん。れみぃの様なおぜうさまがいるありがたみを、おねーさんは理解していなかったんだど!」 「…悪いのは、私たちだよね」 「…うー」 「…」 「…ううー! れみぃ、おねーさんが謝るまで帰らないど!」 「…ふらんね、最近考えるんだ」 「うー?」 泣きべそをかいているおねーちゃんが、手で涙を拭ってこっちを向いて反応してくれます。 私は、頭の中にある漠然とした恐怖を、おねーちゃんに伝えます。 「私たち、おねーさんに重荷になってる」 「…う~? あうあ、うー?」 「迷惑になってるってことだよっ! 私たちは、いつもおねーさんに依存してばかりで!」 「…うー♪ それなら、おねーさんも求めてるから、いいんだどぉ!」 「そりゃ、今はね! でも、何かある度に素直に謝れなくて逃げてちゃあ、愛想つかれちゃうよっ!」 「…うー? そうかなあ?」 「そうだよっ、もっと現実をみないと!」 「…ふりゃん、なんでそんなに焦ってるのだどぉ? もっとリラックス、リラックスなんだどぉ♪」 「…でもっ!」 私は、頭の中のもやもやとした恐怖の正体をおねーちゃんに伝えます。 「ふらん、みたんだよ! てれびで、私たちの様なゆっくりが捨てられていくのを!」 「…うあー?」 「私たちが捨てられていくのは、なんて事のない、普通のことなんだよっ!?」 「…うっ、うっ、…う゛あ゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛!゛!゛!゛ れ゛み゛ぃ゛、゛も゛っ゛と゛お゛ね゛ー゛さ゛ん゛と゛ゆ゛っ゛く゛り゛し゛た゛い゛ど゛ー゛っ゛!゛」 いつも呑気なおねーちゃんも、流石に事の大きさに気が付いたのかわんわん泣き始めました。 私も玉の様な涙を流しているおねーちゃんを見て、悲しくなって、釣られて声を出して泣いてしまいました。 「あ゛ー゛ん゛あ゛ん゛あ゛ん゛あ゛ん゛!゛!゛!゛」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!゛!゛!゛ …゛う゛ぎ゛い゛!゛」 一通り泣き終わったのか、おねーちゃんは変なしゃっくりをしつつ泣きやんだみたいです。 でも、私はまだ気持ちの整理がつかなくて、どうしても溢れ出る涙を止めることは出来ませんでした。 すると、おねーちゃんが私の頬につたう涙を手で拭ってくれて、頬と頬をすりすりしてくれました。 「う゛ー、ふりゃん。泣いてても始まらないど! おねーさんに、謝りに行くんだど!」 さっきまでとは打って変わって、おねーさんに謝りに行こうとするおねーちゃん。 でも、会わせる顔がないし、何だか恐いよ…。 「うー! 駄目だったらその時! こーまかんのおぜうさまたるもの、立ち止まっちゃいけないんだど! それに、れみぃが悪いのだって、薄々気が付いていたんだどぉ…」 おねーちゃんの言葉の最後が尻つぼみになっていてよく聞こえませんでしたが、おねーちゃんの言うことはもっともです。 謝りに行こう。 おねーさんに、見捨てられる前に。 ☆ 「おねーさん…」 ふと、洗濯機が止まるまで暇なため居間でテレビを見ながらゆっくりしている私に、ふらんとれみりゃが不安そうな表情を浮かべて話しかけてきました。 帰って来てたんだ。私は謝りにきたのかな、と頭の片隅で考えながらその様な様子の二人にどうしたの、と訪ねてみました。 すると二人は、 「おねーさん、れみぃたち、居ない方がいい?」 と、とても悲しそうな瞳をして言いました。 「…そんな、悲しくなる事を言わないでください。どうしてそう思ったのですか?」 私は、言葉を詰まらせている二人を私の両肩にもたれかけさせて、抱き締めます。 「だって、だって…」 「大丈夫、私はあなたたちを追い出したりしませんよ」 私の言葉に安心したのか、今まで暗くぎこちなかった二人は『う゛え゛え゛え゛!゛!゛』と大声を出しながら泣き、そのまま私の体にうずくまるように抱きついてきました。 私は二人を受け入れ、頭を撫でてやります。 「お゛ね゛ー゛さ゛ん゛、こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛い゛!゛!゛ い゛つ゛ま゛て゛も゛一゛緒゛に゛い゛て゛ね゛え゛え゛!゛!゛」 「大丈夫ですよ、そんな大声をださなくても。一緒に、いましょうね」 本当は出すつもり無かったけど、おやつのプリン出してあげようかな。 うずくまる二人のゆっくりに、抱き締めながら優しく頬を撫でてあげました。 …ちなみに、何で二人が急に『居ないほうがいい?』だなんて言い出したかを問い詰めてみたら、どうやら昨日見たドラマに影響されたのだとか。 そのドラマの内容は典型的な不幸物で、ゆっくりが主人公だったがために不安に思ったのでしょうね。 全く、とことんおバカさんなんだから! 私があなたたちを見捨てるなんて、例え永久にプリンを食べられなくなる義務を押し付けられたとしても未来永劫ありえません! …そんな、おバカさんたちだからこそ、もっと愛でたくなる。二人をぎゅっと抱き締めて、幸せというものを再確認できたような気がしました。 『誰?』 「うー! おねーさんは、一体誰なんだいっ!」 洗濯物をベランダに干している私に、ふらんが話しかけてきました。一体、どういうことでしょう。 「どうしたのですか、ふらん? ブランデーでも飲んじゃって酔っ払ったのですか?」 「うー、そうじゃないよ! ふらんはおねーさんの事何一つ知らないから気になったんだ! 緑色の髪の毛だし、変なの!」 「…うーん、変ですか。まあ、他の人にこんな独特の色合いをした髪を持つ人なんて、いないですもんね。でも、私自身はこの髪の毛をステータスだと思っているんですよ?」 私は、苦笑いしながら答えます。 「うぅぅ、ごめんね! 悪口で言ったつもりは無いんだ! おねーさんの事、知りたいな!」 「…ふふ、そうですか。そういえばふらん達に名前を教えていませんでしたっけ。私は―…」 私は洗濯物を降ろし、ふらんを優しく抱えながら答えます。 おわり おまけ 「うー♪ うー♪」 「だど、だどぉ♪」 「…」 私は家でゴロゴロしながらテレビを見てゆっくりしていたのですが、気が付いたら目の前に可愛いおちびちゃんたちが遊びに来ていたみたいです。 一人は体がついていて、ぶきっちょなダンスを踊っています。 …なんだ、こいつらは!!! 「ゆっ、どうしたのおねーさん! そんな情熱的な目線をれみぃに当てて…。惚れちゃった?」 「惚れるか! 何なんですかお前たちはいきなり人の部屋に来て、泥棒ですか!?」 「ゆう、おねーさんったら酷い事言って、ツンデレねぇ~」 何を言っても手玉に取られるだけの様な気がしたので、素直に引き下がってこいつらを観察する事にしました。 遠目からみるこいつらはどこか浮足立っていて、なんだか可愛いです。 「うー? おねーさん、そんなにれみぃの事ばっか見てどうしたんだどぉ?」 「うー、おねーちゃんばっかずるい! ふらんもみてよ!」 しまった、感付かれたかと思いすぐさま視線を反らします。 それにしても『ふらんも見て』、かあ。可愛いなあ! 「うー? おねーさん今度はそっぽ向いて、どおしたんだどぉ? 大丈夫だどぉ?」 するとこいつらはいつの間にか私に近付いてきていて、上目遣いをしながら私の顔を覗きこんでいるでは無いですか! うわあ、可愛い、可愛すぎるっ! ちょっと威力が強すぎますよ! 「うー、おねーさん、元気出すんだどぉ…」 ふと、二人いる内の体が付いている方が不安そうに表情を曇らせながら私に近付いてきて、真ん丸で小さな手をピタリと私の頬に当ててスリスリしてくれました。 私の中の大切な物がガラガラと音を立てて崩れていく様な気がしました。 「うおお、もう我慢できません! 食ーべちゃうぞー!!!」 「ぎゃおー♪ 食ーべられちゃうぞー♪」 「うっうー♪」 end 天狗のメモにあったネタを使わせてもらいました。さっぱり関係なくてすみません。 ありがとうございました。 なんて可愛さだ -- 名無しさん (2009-04-17 00 29 47) なんだこの萌え殺しSSは・・・ 思わずニヤニヤしてしまったぜ・・・ -- 名無しさん (2010-04-09 14 15 20) れみぃとふらんかわええええ! -- 名無しさん (2010-04-09 14 15 56) たまらん・・・ -- 名無しさん (2010-12-01 15 29 05) 緑髪ってことは早苗さん? -- とにかくゆっくり飼いたい (2012-06-09 13 57 20) ふらん超キャワワ #9825; -- 名無しさん (2013-02-15 16 45 27) 名前 コメント
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「あのー、咲夜さん・・・これ・・・」 「あら? どうしたの?って、これは!?」 「屋敷中に転がってるんですよ・・・どうしたものかと思いまして」 「すぐに手が空いているメイドたちを集めなさい」 「はいっ!! わかりました!!」 あるメイドが偶然見つけた物、それによって騒然となる紅魔館 そう、それは本来ここにあるべきではないものだった 別勢力からの刺客? 内部のものの陰謀? 様々な思案をめぐらせていた咲夜のもとにパチュリーがやってきた 「咲夜、れみ嬢を見なかった?」 「いえ、それよりこれを・・・」 「ああ、やっぱり。そのことで、れみ嬢を探してるのよ・・・」 話が飲み込めない咲夜 なぜこんなものをれみりゃが持っているのだろうか 「咲夜さーん、パチュリー様ー どこですかー?」 「美鈴? こんな時に・・・ 本当に騒がしいわね・・・」 「とりあえず行ってみましょ」 そこには美鈴とある物をもったれみりゃが 「うー☆ おにはーそとー☆、ふくはーうちー☆」 「あの・・パチュリー様? れみりゃ嬢はなにを?」 不恰好な鬼のお面を被った美鈴に抱えられごきげんのれみりゃ しかもれみりゃが持っているのは館の主人すら恐れる『炒った豆』 「今日は外の世界で『節分』という行事の日なのよ」 突然のパチュリーの言葉にかしげる一同 無理も無い。これはパチュリーとれみりゃが企画したイベントなのである 説明する事数刻、漸く自体が飲み込めた咲夜が口を開く 「しかし、なんで炒った豆を使ったんですか?」 「『豆が厄を引き受けるので、蒔いても芽が出ないように』って書いてあったからよ」 「そうなんですか・・・れみりゃ嬢がいきなり豆をぶつけてきたので何事かと思いましたよ」 「うー☆ うー☆ つぎはしゃくやがおにのばんだどぉ♪」 「パチュリー様・・・こんな格好悪い鬼の面をつけるんですか?」 「あら、折角れみ嬢と二人で作ったのにね~」 「しゃくやかっこいいどぉ~♪ かりすまだどぉ~♪」 「ま、まぁそういうことなら・・・仕方が無いですね・・・」 「咲夜さん、とっても似合ってますよ♪・・・・いたっ!! 痛いです!! ぶつけないでください!!」 「まったく・・・誰もいないと思ったら・・・あんなにはしゃいじゃって」 「おねーさまー、私も一緒に遊びたいよ~」 「それは無理よ、でもここから眺めてるのも悪くないでしょう?」 「ぶ~、でも咲夜もみんなも楽しそうだね♪」 吸血鬼の住む館、紅魔館 今日もまったり時は流れる 名前 コメント
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※大人なれみりゃとちょっと子供なお兄さん・れみりゃとゆっくりできるおちびちゃんと同じ世界観です。 出来ればこれらを先に読んでいただきたいと思っております。 ※独自設定がある駄文だが、大丈夫か? ↓大丈夫だ、問題ないという方はどうぞ れみりゃがダンスを踊るだけの話 「うっう~♪れみぃのかりしゅま☆だんすのぉ♪おひろめだっぞぉ♪」 今日は日曜日なので部屋でゴロゴロしていた俺。 そんな俺に同居人(?)である胴付きゆっくりのれみりゃが新しいダンスの練習をしたから見てほしいと言ってきた。 なので、今の俺はれみりゃの正面約2メートル程離れた場所で胡坐をかいて座っている。 「まんまぁのえれがんとでぇ♪かりしゅまなぁ♪だんすをみてぇ♪れみぃもおべんきょうするどぉ♪あぅ~♪」 こいつはれみりゃの子供である胴付きゆっくりのちびりゃ。 まだ生まれて間もないので、この世のルールを理解できていないわがままっ子だ。 子供なんてそんなものかもしれないが。 因みに、ちびりゃは俺の膝の上に座っている。 何でもそこが「れみぃのゆっくりぽじしょんだどぉ♪」ということらしい。 膝に掛かる微かな重みがこの子の存在を俺に感じさせてくれる。 なんだか可愛くなってきたのでちびりゃの頭を帽子の上から優しく撫でてやる。 「あぅ~♪きもちいいどぉ♪」 ちびりゃが俺の膝の上で嬉しそうに体を揺する。 いかん、これは癖になりそうだ。 「う~!!おにいさんもおちびちゃんもこっちみてぇっ!!」 れみりゃが頬をぷくーっと膨らませて俺達を睨んでいる。(といっても恐いはずもなくむしろ可愛いだけなんだが) いかん、れみりゃが拗ねてしまったようだ。 せっかく俺とちびりゃにダンスを見せてくれるっていうのに、俺とちびりゃだけ楽しんでいたらダメだよな。 反省反省。 「悪かった、れみりゃ。こんな俺にもお前のカリスマなダンスを見せてくれないだろうか」 「まんまぁのかりしゅま☆だんすをぉ♪はやくみたいどぉ♪」 俺達の言葉に気を良くしたのだろうか。 ふくよかな両腕を自身の頬に当て、大きな頭を少し下げ体を揺らしながら照れくさそうにしているれみりゃ。 「うっう~♪れみぃはかんだいだからぁ♪とぉくべつにぃ♪かりしゅま☆だんすをみせてあげるっぞぉ♪うぁうぁ♪」 お前がダンス見てほしいだけだろ、とか言ってはいけない。 また拗ねてしまうからだ。 「う~♪れみぃのお・は・こからいくぞぉ~♪」 いきなり十八番かよ。 有難味もあったもんじゃないな。 まあどうでもいいけど。 「いくぞぉ~!!」 れみりゃが気合を入れている(ように見える)。 いつもと変わらない満面の笑顔なんだけどな。 れみりゃはふくよかな両腕を体の左右に大きく広げる。 その姿勢のまま、俺達と正対したまま左に4歩ずつステップを踏む。 ステップが終わったら、両腕を2回頭上に掲げる。 足元はその場でステップを踏んだままだ。 「うっう~♪」 また腕を左右に広げ、今度は右に4歩ずつステップを踏む。 先程同様、俺達と正対した状態のままだ。 「うぁうぁ♪」 今度は右足をそのままに、左足だけを体の横にステップさせる。 そして次は右足だけを体の横にステップさせながら、両手を胸の前で合わせて離してを繰り返す。 「れみ☆りゃ☆う~♪」 そして締めの『れみ☆りゃ☆う~♪』だ。 …って、マイムマイムかよ! どこかで見たような動きだと思ったぜ! …これは…いいのか? 少なくともオリジナルではないだろ…? 「まんまぁ~!!ぷりてぃーだっどぉ!!きゅーてぃくるだっどぉ!!」 ちびりゃは俺の膝の上で、その小さいながらもふくよかな手で精一杯拍手をしている。 ちなみに、キューティクルというのは哺乳類の毛髪に存在する細胞の膜のことで、褒め言葉ではない。 多分キュートと言いたかったんだろうな。 「うっう~♪おちびちゃんにほめられちゃったぞぉ♪まんまぁうれしいぞぉ♪」 れみりゃもその言葉に嬉しそうに両手を頬に当てている。 まあ、ちびりゃもれみりゃも満足げだし、無粋な口出しをするものじゃないんだろう。 「おつぎのだんすいっくぞぉ~!!」 「あぅ~♪まんまぁ~♪」 気合を入れている母親に声援を送っている子供。 なかなか微笑ましい光景だ。 れみりゃが腰を左右に振りだした。 踊る体勢に入ったのだろう。 そして、両腕を自身の体の右方向に精一杯伸ばし、今度は体全体を揺らし始めた。 「あろはぁ~♪おえ~♪」 ああ、今度は何がしたいのかすぐに分かった。 フラダンスのつもりなのだろう。 しかし、それは正式なフラダンスじゃないらしいからやめてくれ。 俺が怒られる。 「まんまぁ♪ゆうがだっどぉ♪しゅてっきだっどぉ♪」 ちびりゃは大喜びだ。 自身の体の両側にある俺の膝をふくよかな両手でバンバン叩いている。 痛くはないんだが…。 これでいいのか? 「うっう~!!おつぎでらすとだっぞぉ~!!」 まだあったらしい。 まあ俺に見ないなんて選択肢はないんだろうしな。 黙って見ることにしよう。 「いっくぞぉ~!!」 おお、今まで以上に気合を入れている(多分)。 満面の笑顔はそのままだがな。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 まずは、体全体でステップを踏む。 ステップに合わせて腕も胸の前で精一杯動かしている。 おお、今度はオリジナルなのかな? 「うあっ!!」 一言気合を入れ、その場に倒れるれみりゃ。 いや、倒れたんじゃない。 両腕を床に付け、下半身を浮かせ、自身の体重をその両腕のみで支えている。 そして、その状態のまま体全体を回転させ始めた。 「うあああああっ!!」 体を回転させ始めたかと思えば、今度は肩を床に付け、肩を中心に体全体を回転させた。 その状態のまま体を何回転かさせた後、れみりゃは逆立ちを始める。 「れみ!!! りゃ!!! う~!!!」 そして、片手で逆立ちをした状態でこちらを向いて締めの合図だ。 今まで以上に気合を入れてたなあ。 … … …あれ? 今のはブレイクダンスか? 「まんまぁ~!!!しゅっごいどぉ~!!!かりしゅまだっどぉ!!!えれがんとだっどぉ!!!」 ちびりゃはすっかり興奮してしまったようだ。 俺の膝を先程以上の勢いで両手でバンバン叩いている。 「うっう~♪おちびちゃんにほめられちゃったぞぉ~♪」 いつの間にか立ち上がった状態に戻っているれみりゃ。 頬に両手を当て、嬉しそうに体を揺する。 「おにいさ~ん♪れみぃのかりしゅま☆だんすはぁ♪まんぞくできたぁ?」 「あ、ああ…とってもカリスマだったんじゃないか…?」 れみりゃの質問に俺はこう答えることしかできなかった。 何て言えばいいのかわからなかった。 「うっう~♪ほめられちゃったぞぉ♪れみぃうれっし~ぞぉ♪」 「れみぃもうれっし~どぉ♪れみぃもまんまぁをみならってぇ♪りっぱなかりしゅまになるどぉ♪」 れみりゃといつの間にか立ち上がっていたちびりゃが「「ばんじゃ~い!!」」と両手を頭上に掲げて喜びを全身で表現している。 しかし、今の俺はそれに対して何かの感想を思うことは出来なかった。 れみりゃの底力とダンスに賭ける執念に驚くことしか出来なかったからだ。 あんな動き…俺にも出来ないぞ…? あの肉まんハンドであんな動きできるのかよ…。 この前までは可愛らしくも不器用なダンスでしかなかったのに…。 「マジかよ…」 なんだかれみりゃに敗北感を感じた一日だった。 後書 今まで書いた自身の小説もどきを読み返してみると、具体的描写が非常に少ないことに今更気付きました。 そこで練習ということで具体的描写を盛り込んだものを意識して書いてみました。 こんな駄文を最後まで読んでくださってありがとうございました。 精進致しますのでこれからもよろしくお願いします。 ほほえましい。 ステキだ。 -- 名無しさん (2011-01-08 09 47 32) 大丈夫だ!問題ない! -- 名無しさん (2011-01-08 19 13 56) どこで覚えたんだ... -- れみりゃ大好き (2013-01-04 22 06 01) 名前 コメント
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この作品は以前のゆっくりれみりゃを山に放すの続きです。 そちらを先にお読みになられることをお勧めします。 紅魔館で何不自由なく暮らしていたゆっくりれみりゃ。 ある日、興味本位で抜け出したところ、男に帽子を取られてしまい。 追いかけたりなんだしして、山に連れて行かれた。 「うー! うー!」 男の背中がどんどんと小さくなっていく。 反比例するように、ゆっくりれみりゃの泣き声はどんどん大きくなる。 「うー! もどってごないどたべじゃうぞ!」 その場で手足をジタバタさせて泣き叫ぶれみりゃ。 「うぎゃーーーー!!!! ざぐやーーー!! ざぐやーーー!!!」 しかし、山の中ので幾ら騒いでも紅魔館に届くことは無く、ただ虚しく時間が過ぎていくだけであった。 「うーー!! う~♪ れみりゃう~♪ さぐやーーれみりゃがよんでるよーー♪」 泣き叫んでも咲夜がこないと分かると、今度は一転笑顔になって咲夜を呼び出す。 「う~♪ うーーたべちゃうぞーー!! たーべちゃうぞー!!」 それでも来ないので、いい加減諦めたのかもう一本の傘で周りの地面を叩き始めた。 「うーーー♪ うーーー♪ う~♪」 それもゆっくりぶでぃん脳では長く続かない、あっという間に地面を楽しく叩いているれみりゃがそこにいた。 「う~~♪ う?」 漸く、自分がおじさんにここに連れてこられた事を思い出したれみりゃ。 慌てて周りを見回す、既に日が落ちかけている山に段々と暗黒が訪れようとしていた。 「うーーー♪」 早く帰ろう、そう思って山の中に足を踏み入れる。 しかし鬱蒼と生い茂る木々に自分の目指す先が見つけられない。 「うーーー!!! ざぐやーーー!!!!」 「ゆ? ゆっくりーーーー!!!」 「うわーーー!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!!」 その声に、慌ててもと来た道を駆け下りる、まもなくその豚足の様な短い足を縺れさせてすっ転ぶ。 そのまま転がって先ほどの場所へ。 「うーーー!!! うーーー!!!」 急いで男が準備した自分の家の中に入る。 日傘を地面深くまで埋めたので、丁度テントのような形状になっている。 必死に一部をまくって中に入り込む。 ゆっくりの頭でも、先ほどの事は記憶に残っているようで、必死に声を殺しながら泣き喚く。 「ぅーーー!! ぅーーー!!!」 しかし、何かが跳ねる音は確実にこちら側柄に近づいてくる。 「くんくん! こっちからゆっくりのにおいがする!!!」 バサ!!! 「うーー!!! ? う~?」 入ってきたのは数匹のゆっくりアリス、なんだ今日もお昼に食べたゆっくりじゃないか。 「う~♪ たーべちゃうぞ~♪」 そう思って一匹に狙いを定め襲い掛かる。 しかし。 「れ!れ!れみりゃ~~~!!!!!」 「う~♪ !!!!! うわーーー!! うわーーー!!!」 突然の抵抗、あっという間にゆっくりアリスに押し倒されるれみりゃ。 そして当然のように交尾に入るゆっくりアリス。 「れみりゃでもいいよ!!! れみりゃもだ~いすき!! まりさや、れいむやぱちぇりーやありすのつぎにだーいすきだよーーーーー!!!!」 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!」」」」」 「うがぁっ!! う゛あ゛ああああああああぁ!!!」 体を振るわせたアリスが大群で自分に擦り寄ってくる。 恐怖に顔を歪ませ、なみだ目でなすがままにされるされるれみりゃ。 通常この種のれみりゃは発情しない。 大抵が一つの地区を荒らし終わった後のアリスの集団に襲われるのだ。 今その恐怖を、このれみりゃも体感している。 「れみりゃも!! ありずどのごどもがんばっでうんでねーー!!!!!」 「「「「う~♪ すっきり~~~~♪」」」」 それだけ言い残してアリス達はその傘の中を出て行った。 残されたれみりゃは、既に失神していた。 翌日。 太陽がもうそろそろ真上に昇りそうな時間。 れみりゃは漸く目を覚ました。 「う~♪ しゃくや~だっごじで~♪」 勢いよく両手を伸ばす、いつもは自分が起きる前に部屋の中に居る咲夜に抱っこしてもらう。 そして着替え終わった後においしいプリンを食べるのだ。 「う~♪ ざぐや~おぞいぞぉ~♪ おぞいどた~べちゃうz……!!!」 目を開けたらそこには自分のお気に入りの日傘。 床は硬い地面。 勿論咲夜の姿は無い。 「う~ざぐやーーー!!! どぉごーーー!!! ぷっでぃ~んもどごー!!!?」 昨夜の様に急いで傘から出る、そして辺りを見回す。 勿論自分の知らない場所だ、当然のように泣き出すれみりゃ。 「うーーーー!! ごごどぉごーー!!!」 ただ、昨日アリスたちにされたことは思い出したようだ。 慌てて辺りを見回すが、どうやらアリス達の姿は無い。 一息ついて巣に戻る。 「う!!」 巣の中には小さいが自分と同じ姿をした姿。 所謂ゆっくりれみりゃの赤ちゃんである。 れみりゃの三分の一ほどの大きさであろう、その体格にあった婆くさい服と帽子を被って、れみりゃよりも若干高い声で話している。 「う~? !! あがじゃん!! れみりゃのあがじゃん!!!」 「う~♪ みゃみゃ~♪」 四匹の子供がれみりゃに駆け寄ってくる。 「う~♪ れみりゃはおがーざんだどぉ~♪」 「「「「う~♪ みゃみゃ~おなかへった~おがしたべりゅ~♪」」」」 その言葉を聞いたれみりゃは、もう一本の傘を持ってお得意の笑顔で宣言する。 「う~~れみりゃおうちにがえどぅ~♪ じぶんのおやぎじにがえどぅ~♪」 「「「「かえりゅ~♪ おやしきにかえりゅ~♪」」」」 ぱんぱんと服に付いた埃を落とし、ニコニコと川に沿って進んでいく。 川沿いに歩けば山を下りられると思っている訳ではない。 自分のお屋敷にある水溜りと同じだからただ歩いているだけだある。 「おうちがえったりゃ♪ おがあさんはぷっでぃんたべどぅ~♪」 「「「「う~♪ ぷっでぃんってなぁに??」」」」 「ぷっでぃ~んはぷっでぃ~んなの!!! ぷるぷるしででおいじ~の♪」 「「「「れみりゃもぷっでぃ~んたべりゅ~♪」」」」 それからは一家でぷっでぃんの歌を歌いながら進んでいく。 「う~~♪ うっう~うあうあ♪」 のんびりとご機嫌に歩いていくれみりゃ。 それはそうだろう、自分の頭の仲では紅魔館の誇り高いお嬢様なのだから。 その後ろには四人の子供たち、母親の日傘が羨ましいのかそこら辺に落ちている大きな木の枝を持って母親の真似をして懸命にバランスと取っている。 「う~!! まじだーー!!!」 暫く歩いて大きな街に到着したれみりゃ一行。 優雅にここを通って帰ろうと、日傘をギュッと握り締めいざ街の中へ。 ここは、周りの村から色々な品物が集まる。 当然、毎日のように市が出来ている、それ程大きな街なのだ。 「う~♪ う~♪」 そんな中を、日傘をさして歩くれみりゃ。 しきりにあっちを向いてニコニコ、こっちを向いてニコニコとまるで自分がセレブの様に振舞っている。 真似して子供たちもニコニコ。 もちろん笑顔と一緒にう~、も忘れない。 真似して子供たちもう~♪ そう、あの笑顔と、う~が合わさってこそれみりゃの真骨頂なのだから。 「うっ! うっ~♪」 近くの屋台で何かを発見したようで、目を大きく見開き満面の笑みを浮かべるれみりゃ。 目線の先にはクッキー。 そう、れみりゃの大好物の一つ、クッキーが山盛り売られていたのだ。 「うっう~♪ あうあう♪」 ご機嫌にその屋台に向かう、もちろんお金は持っていない。 飛び上がって一つまみ、がさごそクッキーを落としながら真剣に選ぶ。 本人は何かを見定めているつもりなのだろう。 子供達も、他のお菓子に手を入れてがさごそ選ぶ。 真似ではない、母親も見よう見まねでやっているのだ。 「う~~♪ むしゃ……」 漸く一枚のクッキーを取り出して口に運ぶ、しかし途端に泣き出してしまった。 「う~ぽい!! ぺっぺっ!!!」 挙句、口に入っていたクッキーを店主に吐き出し、屋台に並んでいるほかのお菓子を根こそぎぶちまける。 「れみりゃはぷっでぃ~~んがたべたいのーーー!!! ぷっでぃーーん!!!」 「れみりゃもいりゃな~い。ぷっでぃんちょ~だい」 「ぷっでぃ~んたべたい~♪」 店主の罵声も気にせず以前のように屋台の上で駄々をこね始めるれみりゃ一家。 「ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!!!」 「「「「ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」」」」 「……」 店主が有無を言わさずれみりゃ達を捕らえる。 両手でしっかりと押さえ込み徐々に力を入れていく。 意外と、お菓子作りというものは屈強な男がやっているもので、この屋台の店主もそれに漏れず屈強な男だった。 また、ゆっくりを使ったお菓子も数多く作っていることもあり、その扱いも手馴れていた。 「いだいーー!! ざぐやーー!! どごーー!!! わるいひどがいるどぅー!! !!!!」 「みゃみゃ~いだいよ~」 「う~しゃくやにいいつけてやりゅ~!!!」 徐々に力を込めて握っていく。 腕がボキボキいっているが、気にせず更に力を込める。 子供達は失神してしまったので、近くの籠に閉じ込める。 「うあーー!!! れみりゃのごどもだじがーー!!! れみりゃのぎゅーとでぷりでーなごどもだじがー!!! ……がっはっ!! ひゅーー」 上手く声が出せなくなったところで一旦手を離す。 「うわーーー!!!! うわーーーーー!!!! いだいーーーーー、れみりゃしんじゃうどぉーーー!!!!」 れみりゃは随分と体内に傷を負ったようで、しばらくは地面にのた打ち回りながら絶叫をあげ続けていた。 だがそれも暫くの間、傷が回復すればまた以前の調子に戻る。 「う~~♪ ざぐやにいいつげてやどぅ~~~♪ さぐy!!!」 飛び上がってそんな事を言っていた矢先、突然後ろから羽を引きちぎられ地面に落とされる。 「う!! うー!!!! ぎゃおーーー!! いじわるずるとたーべちゃうぞー!!!」 何時もは自分が何をしても何も言わなかった人間、当然自分のほうが強いと思っていた。 だから、今も強気にでる。 「…………」 「!!! がぁおーーーたーべちゃうぞーー!!!」 次第に大勢に囲まれても強気に出る。 「…………」 「う~~~!!! がぁーーーお!!! t!!! ぶぎゃ!!!」 頭を踏みくけられ地面にキスする。 地面もそんなものはいやなのでれみりゃの顔に大量の擦り傷を作る。 「うっぎゃーーー!!! いだいよーーー!!! ざぐやーーー!!! わるいひどが!!!」 さっきの蹴りを合図に村人がれみりゃをいたぶり始める。 その殆どは、かつて自分の店で迷惑をかけられた人々だった。 「う!! うあ!!!! あーーーーー!!!」 殆ど声を上げるまもなくズタズタにされていくれみりゃ。 右腕はつぶれ中身をばら撒き、左腕はあらぬ方向へ曲がっている。 両足は太い串が刺さっており動こうにも動けない。 「う……が……。!!!! さぐや!! ざぐやーーーーーーー!!!!!!!」 れみりゃの視線の先、微かに見えるその先には、確かに紅魔館の十六夜咲夜の姿があった。 人々もそれに気が付き、一斉にれみりゃの周りから遠のく。 咲夜もれみりゃに気が付いたそうで、れみりゃのもとへ近づいてくる。 「う~~~♪ ざぐやにいいつげでやどぅ~~~♪」 まだ再生途中の右腕で人々を指差しながら、この日一番のとびっきりの笑顔で人々に宣言する。 帰ったら何をしようか、昨日は帰らなかったからふかふかのお布団で寝たい。 美味しいものも食べたい。 そうだ、ぷっでぃんをたべよう、かえったら直ぐ咲夜に持ってきてもらおう。 「う~~~ざぐやーーー!! あいづらがいじめるどぉ~♪ それから、れみりゃぷっでぃんたべたい!!!」 既に目前まで迫っていた咲夜に話しかける。 抱きつこうかとも思ったけれど、両足に刺さった串が邪魔で立つことが出来ない。 「う~~♪ ざぐやーーーごれどっでぇ~♪」 足の串を指差しながらお願いする。 何も言わず串を引き抜ききちんとれみりゃを立たせる。 そして両足の甲に、思いっきりナイフを突き刺す。 「!!!!」 そのままナイフの柄を踏みつけ、地面不覚まで突き刺す咲夜。 それが終わると一言だけ呟いて返っていった。 「あなたみたいな醜い食べ物、紅魔館にはいないわ」 「ざぐやーーー!!! ぷっでぃんぷっでぃんたべだいの!!!」 訳が分からず追いかけようとするが、先ほどより頑丈なナイフが邪魔をして動くことは出来ない。 あっという間に再び人々に囲まれるれみりゃ。 正面には先ほどの店主。 手にしているのは石製の大きな麺棒。 「……」 咲夜が居なくなって変わりに他の人間に囲まれる。 「……うっ、う~♪ れみりゃぷっでぃんだべたい~♪」 先ほどやられた事を覚えているのか、一転今度はご機を取ろうとニコニコ愛想を振りまいてきた。 懸命に店主を見上げでニコニコと笑う。 その体勢からか、口元にはたくさんの涎が滴り落ちている。 「…………」 「う~♪ れみりゃねぷっでぃんたべだいの♪ ぷっでぃん♪」 「…………クス」 「♪ れみ☆りゃ☆う~☆♪ にぱー♪」 風を切る音と共に、勢いよく麺棒が振り下ろされる。 「んびゃお!!!」 額に直撃したそれは、勢いよくれみりゃを後ろに倒していく。 「うぎゃあぁーーー!!!」 支えきれなくなった足が、挿されたところからちぎれ落ちる。 顔は赤く腫れ足首から先は無くなっているれみりゃ。 羽はまだ再生中なので、これでは逃げることは叶わない。 「うあーーー!!! れみりゃがぁおーーーー!!! がぁおーーー!!! おまえらなんかざぐやにたべられちゃえ!!! ばぁ~がぁ!!!」 ジリッ、ジリッと歩み寄ってくる人間達。 「ばぁーか!! ざぐやーー!!! ざぐやーー!!! はやぐぎでーーー!!!」 その言葉を最後にれみりゃの意識は暫く途切れる。 数ヵ月後、街には新しい店ができた。 他の屋台の店主達が共同で行っているそのお店、ちょっと中を覗いてみよう。 「へい! いらっしゃい!!!」 「いらっじゃいまぜー!!!」 肉まん一つお願いできますか? 「はいよ! おいさっさと準備しろ!!」 そう言って隣のれみりゃの背中を叩く。 何時もの婆くさい服の上から着ている真っ赤なエプロン。 そして、首と胴体に大きな輪をはめられ溶接されているその輪は、どうやっても取ることは出来ないだろう。 しかも頭には河童特製の発信機が付けてあるので逃げ出すことも出来ない。 「ほら、肉まん一つだってさ」 「う~やぁだ~!! ざぁぐや~!!!」 しかし、ダダをこねてなかなか始めようとしないれみりゃ。 その様子に、店主が痺れを切らした。 「さっさとやらないとまたお仕置きだぞ!」 「!! うーーー!!! はいやりまどぅ~!!!」 それを確認して店主はもう一匹のれみりゃを連れ出してきた。 大きさはさっきのれみりゃの半分ほど、母親とおそろいの妙に婆くさい服を着ている。 母親と同じように輪をはめられている、頭にも発信機が付いているのだろう。 温室にでも入れられているのか、ぽかぽかと顔が赤く肉汁の汗も出している。 「うぎゃーーー!!! ま゛ま゛ーーー!!!! ま゛ま゛ーーーー!!!!」 店主が、その子れみりゃの腕を一気に引きちぎる。 「う゛わ゛ーーー!!! れみりゃのごどもがーーー!!!! れみりゃのぷりでーなこどもがーーー!!!」 泣き叫ぶお母さんれみりゃ。 その前に運ばれた腕。 「早くしないとお仕置きだよ!」 男が耳元でささやくと、お母さんれみりゃは急いで腕から中身を取り出し、腕の皮を丸めて整形していく。 れみりゃ専用の低いテーブルで行われる作業はまるでおままごとの様だ。 数分と掛からないうちにほっかほかの肉まんの出来上がりだ。 「おまだぜじまじた!!! れみりゃのごどもがらづぐっだおいじいにぐなんでずーー!!! おがあさんのれみりゃが、いっじょうげんめいずぐりましだ!!! れみりゃだじはこうじゅうなにぐなんなのでとっでもいいじいでずー!!!」 笑顔とも泣き顔とも付かない顔で差し出された肉まん。 一口食べれば分かる。 旨い! 確かにこれは旨い! 「ご馳走様。 たしかにこの肉まんはとっても美味しかったよ! さすがれみりゃだね!!」 そう言って頭を撫でて店を出た男。 「ありがどーございまじだー!!! れみりゃのおいじいにぐまんまだだべにぎでくだざい!!」 去っていった男に挨拶をするれみりゃ。 その様子を見て店主が呟く。 「今日の夕ご飯はぷっでぃんだよ! だから何時もよりがんばってね!!」 True END ゆっくり十八番~ノンフライ~ 選択肢 投票 しあわせー! (34) それなりー (4) つぎにきたいするよ! (5) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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れみりゃの不思議なダンジョン関連はここで(現在凍結中、再開予定有) れみりゃの不思議なダンジョン(通称れみだん)は東方Projectと不思議のダンジョンシリーズを題材とした二次創作作品(オープンソースのフリーソフト)です。開発言語はHSPです。 wikiマップ 現在進めたいところ プログラム ドット絵・立ち絵 音楽 脚本・設定・システム その他 wikiマップ れみだん … このページ プログラム倉庫 … 最新版のプログラムを置いておく所 製作状況 … 現在の製作状況はここで見れる 立ち絵・ドット … 作成された東方キャラの立ち絵・ドットを保管しておく所 求人情報・Q&A … 制作に参加したい方はこちらへ 何か分からないことがある人もこちらへ 各種設定募集中 … 設定を追加してくれる人募集中 設計 … れみりゃの不思議なダンジョンの設計書です 現在進めたいところ 1章に登場する未完成の素材を完成させる 足りない部分については基本的にメニューの製作状況をご覧ください プログラム れみりゃの不思議なダンジョン製作スレ 製作スレはプログラムの話をしているだけではなく全体的なことを 話していたりするかもしれない プログラムの詳細は製作スレへ IRC導入 #レミダン製作の集い にどうぞ シナリオエディタが製作されました 今まで以上にシナリオが作成しやすくなっています ドット絵・立ち絵 ドット絵・立ち絵・マップチップ制作スレ マップチップ 第一章の範囲で出来ていないのは、竹林、紅魔館の2つ。 出来ればこの辺が欲しい。 これ以外の場所でも、すでに出来ている場所でもどんどん募集中です。 現在神社を分担して制作中 音楽 BGM・SE制作スレ とりあえず魔法の森・迷いの竹林・神社・霧の湖のBGMは出来てる あと紅魔館・スタート画面・フィールド画面の曲がほしい 既に出来上がっている所でも浅層と深層などいくらでも分けれるので作ってもおk 脚本・設定・システム 脚本・設定・システム制作スレ 過疎ってるので盛り上げてやってください その他 マップのファイルが必要、作り方はプログラム倉庫等から落としたものの中に マップファイル_説明書.txtが入っているのでそれを参考に 会話も募集中、上と同じく中に会話_説明書.txt という名前で入っているのでそれを参考に オリジナルのモンスターもたくさん作ってください -- ノガコウ (2010-06-30 23 17 42) 名前 コメント
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この作品は以前のゆっくりれみりゃを山に放すの続きです。 そちらを先にお読みになられることをお勧めします。 紅魔館で何不自由なく暮らしていたゆっくりれみりゃ。 ある日、興味本位で抜け出したところ、男に帽子を取られてしまい。 追いかけたりなんだしして、山に連れて行かれた。 「うー! うー!」 男の背中がどんどんと小さくなっていく。 反比例するように、ゆっくりれみりゃの泣き声はどんどん大きくなる。 「うー! もどってごないどたべじゃうぞ!」 その場で手足をジタバタさせて泣き叫ぶれみりゃ。 「うぎゃーーーー!!!! ざぐやーーー!! ざぐやーーー!!!」 しかし、山の中ので幾ら騒いでも紅魔館に届くことは無く、ただ虚しく時間が過ぎていくだけであった。 「うーー!! う~♪ れみりゃう~♪ さぐやーーれみりゃがよんでるよーー♪」 泣き叫んでも咲夜がこないと分かると、今度は一転笑顔になって咲夜を呼び出す。 「う~♪ うーーたべちゃうぞーー!! たーべちゃうぞー!!」 それでも来ないので、いい加減諦めたのかもう一本の傘で周りの地面を叩き始めた。 「うーーー♪ うーーー♪ う~♪」 それもゆっくりぶでぃん脳では長く続かない、あっという間に地面を楽しく叩いているれみりゃがそこにいた。 「う~~♪ う?」 漸く、自分がおじさんにここに連れてこられた事を思い出したれみりゃ。 慌てて周りを見回す、既に日が落ちかけている山に段々と暗黒が訪れようとしていた。 「うーーー♪」 早く帰ろう、そう思って山の中に足を踏み入れる。 しかし鬱蒼と生い茂る木々に自分の目指す先が見つけられない。 「うーーー!!! ざぐやーーー!!!!」 「ゆ? ゆっくりーーーー!!!」 「うわーーー!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!!」 その声に、慌ててもと来た道を駆け下りる、まもなくその豚足の様な短い足を縺れさせてすっ転ぶ。 そのまま転がって先ほどの場所へ。 「うーーー!!! うーーー!!!」 急いで男が準備した自分の家の中に入る。 日傘を地面深くまで埋めたので、丁度テントのような形状になっている。 必死に一部をまくって中に入り込む。 ゆっくりの頭でも、先ほどの事は記憶に残っているようで、必死に声を殺しながら泣き喚く。 「ぅーーー!! ぅーーー!!!」 しかし、何かが跳ねる音は確実にこちら側柄に近づいてくる。 「くんくん! こっちからゆっくりのにおいがする!!!」 バサ!!! 「うーー!!! ? う~?」 入ってきたのは数匹のゆっくりアリス、なんだ今日もお昼に食べたゆっくりじゃないか。 「う~♪ たーべちゃうぞ~♪」 そう思って一匹に狙いを定め襲い掛かる。 しかし。 「れ!れ!れみりゃ~~~!!!!!」 「う~♪ !!!!! うわーーー!! うわーーー!!!」 突然の抵抗、あっという間にゆっくりアリスに押し倒されるれみりゃ。 そして当然のように交尾に入るゆっくりアリス。 「れみりゃでもいいよ!!! れみりゃもだ~いすき!! まりさや、れいむやぱちぇりーやありすのつぎにだーいすきだよーーーーー!!!!」 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!」」」」」 「うがぁっ!! う゛あ゛ああああああああぁ!!!」 体を振るわせたアリスが大群で自分に擦り寄ってくる。 恐怖に顔を歪ませ、なみだ目でなすがままにされるされるれみりゃ。 通常この種のれみりゃは発情しない。 大抵が一つの地区を荒らし終わった後のアリスの集団に襲われるのだ。 今その恐怖を、このれみりゃも体感している。 「れみりゃも!! ありずどのごどもがんばっでうんでねーー!!!!!」 「「「「う~♪ すっきり~~~~♪」」」」 それだけ言い残してアリス達はその傘の中を出て行った。 残されたれみりゃは、既に失神していた。 翌日。 太陽がもうそろそろ真上に昇りそうな時間。 れみりゃは漸く目を覚ました。 「う~♪ しゃくや~だっごじで~♪」 勢いよく両手を伸ばす、いつもは自分が起きる前に部屋の中に居る咲夜に抱っこしてもらう。 そして着替え終わった後においしいプリンを食べるのだ。 「う~♪ ざぐや~おぞいぞぉ~♪ おぞいどた~べちゃうz……!!!」 目を開けたらそこには自分のお気に入りの日傘。 床は硬い地面。 勿論咲夜の姿は無い。 「う~ざぐやーーー!!! どぉごーーー!!! ぷっでぃ~んもどごー!!!?」 昨夜の様に急いで傘から出る、そして辺りを見回す。 勿論自分の知らない場所だ、当然のように泣き出すれみりゃ。 「うーーーー!! ごごどぉごーー!!!」 ただ、昨日アリスたちにされたことは思い出したようだ。 慌てて辺りを見回すが、どうやらアリス達の姿は無い。 一息ついて巣に戻る。 「う!!」 巣の中には小さいが自分と同じ姿をした姿。 所謂ゆっくりれみりゃの赤ちゃんである。 れみりゃの三分の一ほどの大きさであろう、その体格にあった婆くさい服と帽子を被って、れみりゃよりも若干高い声で話している。 「う~? !! あがじゃん!! れみりゃのあがじゃん!!!」 「う~♪ みゃみゃ~♪」 四匹の子供がれみりゃに駆け寄ってくる。 「う~♪ れみりゃはおがーざんだどぉ~♪」 「「「「う~♪ みゃみゃ~おなかへった~おがしたべりゅ~♪」」」」 その言葉を聞いたれみりゃは、もう一本の傘を持ってお得意の笑顔で宣言する。 「う~~れみりゃおうちにがえどぅ~♪ じぶんのおやぎじにがえどぅ~♪」 「「「「かえりゅ~♪ おやしきにかえりゅ~♪」」」」 ぱんぱんと服に付いた埃を落とし、ニコニコと川に沿って進んでいく。 川沿いに歩けば山を下りられると思っている訳ではない。 自分のお屋敷にある水溜りと同じだからただ歩いているだけだある。 「おうちがえったりゃ♪ おがあさんはぷっでぃんたべどぅ~♪」 「「「「う~♪ ぷっでぃんってなぁに??」」」」 「ぷっでぃ~んはぷっでぃ~んなの!!! ぷるぷるしででおいじ~の♪」 「「「「れみりゃもぷっでぃ~んたべりゅ~♪」」」」 それからは一家でぷっでぃんの歌を歌いながら進んでいく。 「う~~♪ うっう~うあうあ♪」 のんびりとご機嫌に歩いていくれみりゃ。 それはそうだろう、自分の頭の仲では紅魔館の誇り高いお嬢様なのだから。 その後ろには四人の子供たち、母親の日傘が羨ましいのかそこら辺に落ちている大きな木の枝を持って母親の真似をして懸命にバランスと取っている。 「う~!! まじだーー!!!」 暫く歩いて大きな街に到着したれみりゃ一行。 優雅にここを通って帰ろうと、日傘をギュッと握り締めいざ街の中へ。 ここは、周りの村から色々な品物が集まる。 当然、毎日のように市が出来ている、それ程大きな街なのだ。 「う~♪ う~♪」 そんな中を、日傘をさして歩くれみりゃ。 しきりにあっちを向いてニコニコ、こっちを向いてニコニコとまるで自分がセレブの様に振舞っている。 真似して子供たちもニコニコ。 もちろん笑顔と一緒にう~、も忘れない。 真似して子供たちもう~♪ そう、あの笑顔と、う~が合わさってこそれみりゃの真骨頂なのだから。 「うっ! うっ~♪」 近くの屋台で何かを発見したようで、目を大きく見開き満面の笑みを浮かべるれみりゃ。 目線の先にはクッキー。 そう、れみりゃの大好物の一つ、クッキーが山盛り売られていたのだ。 「うっう~♪ あうあう♪」 ご機嫌にその屋台に向かう、もちろんお金は持っていない。 飛び上がって一つまみ、がさごそクッキーを落としながら真剣に選ぶ。 本人は何かを見定めているつもりなのだろう。 子供達も、他のお菓子に手を入れてがさごそ選ぶ。 真似ではない、母親も見よう見まねでやっているのだ。 「う~~♪ むしゃ……」 漸く一枚のクッキーを取り出して口に運ぶ、しかし途端に泣き出してしまった。 「う~ぽい!! ぺっぺっ!!!」 挙句、口に入っていたクッキーを店主に吐き出し、屋台に並んでいるほかのお菓子を根こそぎぶちまける。 「れみりゃはぷっでぃ~~んがたべたいのーーー!!! ぷっでぃーーん!!!」 「れみりゃもいりゃな~い。ぷっでぃんちょ~だい」 「ぷっでぃ~んたべたい~♪」 店主の罵声も気にせず以前のように屋台の上で駄々をこね始めるれみりゃ一家。 「ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!! ぷっでぃーん!!!!」 「「「「ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」」」」 「……」 店主が有無を言わさずれみりゃ達を捕らえる。 両手でしっかりと押さえ込み徐々に力を入れていく。 意外と、お菓子作りというものは屈強な男がやっているもので、この屋台の店主もそれに漏れず屈強な男だった。 また、ゆっくりを使ったお菓子も数多く作っていることもあり、その扱いも手馴れていた。 「いだいーー!! ざぐやーー!! どごーー!!! わるいひどがいるどぅー!! !!!!」 「みゃみゃ~いだいよ~」 「う~しゃくやにいいつけてやりゅ~!!!」 徐々に力を込めて握っていく。 腕がボキボキいっているが、気にせず更に力を込める。 子供達は失神してしまったので、近くの籠に閉じ込める。 「うあーー!!! れみりゃのごどもだじがーー!!! れみりゃのぎゅーとでぷりでーなごどもだじがー!!! ……がっはっ!! ひゅーー」 上手く声が出せなくなったところで一旦手を離す。 「うわーーー!!!! うわーーーーー!!!! いだいーーーーー、れみりゃしんじゃうどぉーーー!!!!」 れみりゃは随分と体内に傷を負ったようで、しばらくは地面にのた打ち回りながら絶叫をあげ続けていた。 だがそれも暫くの間、傷が回復すればまた以前の調子に戻る。 「う~~♪ ざぐやにいいつげてやどぅ~~~♪ さぐy!!!」 飛び上がってそんな事を言っていた矢先、突然後ろから羽を引きちぎられ地面に落とされる。 「う!! うー!!!! ぎゃおーーー!! いじわるずるとたーべちゃうぞー!!!」 何時もは自分が何をしても何も言わなかった人間、当然自分のほうが強いと思っていた。 だから、今も強気にでる。 「…………」 「!!! がぁおーーーたーべちゃうぞーー!!!」 次第に大勢に囲まれても強気に出る。 「…………」 「う~~~!!! がぁーーーお!!! t!!! ぶぎゃ!!!」 頭を踏みくけられ地面にキスする。 地面もそんなものはいやなのでれみりゃの顔に大量の擦り傷を作る。 「うっぎゃーーー!!! いだいよーーー!!! ざぐやーーー!!! わるいひどが!!!」 さっきの蹴りを合図に村人がれみりゃをいたぶり始める。 その殆どは、かつて自分の店で迷惑をかけられた人々だった。 「う!! うあ!!!! あーーーーー!!!」 殆ど声を上げるまもなくズタズタにされていくれみりゃ。 右腕はつぶれ中身をばら撒き、左腕はあらぬ方向へ曲がっている。 両足は太い串が刺さっており動こうにも動けない。 「う……が……。!!!! さぐや!! ざぐやーーーーーーー!!!!!!!」 れみりゃの視線の先、微かに見えるその先には、確かに紅魔館の十六夜咲夜の姿があった。 人々もそれに気が付き、一斉にれみりゃの周りから遠のく。 咲夜もれみりゃに気が付いたそうで、れみりゃのもとへ近づいてくる。 「う~~~♪ ざぐやにいいつげでやどぅ~~~♪」 まだ再生途中の右腕で人々を指差しながら、この日一番のとびっきりの笑顔で人々に宣言する。 帰ったら何をしようか、昨日は帰らなかったからふかふかのお布団で寝たい。 美味しいものも食べたい。 そうだ、ぷっでぃんをたべよう、かえったら直ぐ咲夜に持ってきてもらおう。 「う~~~ざぐやーーー!! あいづらがいじめるどぉ~♪ それから、れみりゃぷっでぃんたべたい!!!」 既に目前まで迫っていた咲夜に話しかける。 抱きつこうかとも思ったけれど、両足に刺さった串が邪魔で立つことが出来ない。 「う~~♪ ざぐやーーーごれどっでぇ~♪」 足の串を指差しながらお願いする。 何も言わず串を引き抜ききちんとれみりゃを立たせる。 そして両足の甲に、思いっきりナイフを突き刺す。 「!!!!」 そのままナイフの柄を踏みつけ、地面深くまで突き刺す咲夜。 それが終わると一言だけ呟いて返っていった。 「あなたみたいな醜い食べ物、紅魔館にはいないわ」 「ざぐやーーー!!! ぷっでぃんぷっでぃんたべだいの!!!」 訳が分からず追いかけようとするが、先ほどより頑丈なナイフが邪魔をして動くことは出来ない。 あっという間に再び人々に囲まれるれみりゃ。 正面には先ほどの店主。 手にしているのは石製の大きな麺棒。 「……」 咲夜が居なくなって変わりに他の人間に囲まれる。 「……うっ、う~♪ れみりゃぷっでぃんだべたい~♪」 先ほどやられた事を覚えているのか、一転今度はご機を取ろうとニコニコ愛想を振りまいてきた。 懸命に店主を見上げでニコニコと笑う。 その体勢からか、口元にはたくさんの涎が滴り落ちている。 「…………」 「う~♪ れみりゃねぷっでぃんたべだいの♪ ぷっでぃん♪」 「…………クス」 「♪ れみ☆りゃ☆う~☆♪ にぱー♪」 風を切る音と共に、勢いよく麺棒が振り下ろされる。 「んびゃお!!!」 額に直撃したそれは、勢いよくれみりゃを後ろに倒していく。 「うぎゃあぁーーー!!!」 支えきれなくなった足が、挿されたところからちぎれ落ちる。 顔は赤く腫れ足首から先は無くなっているれみりゃ。 羽はまだ再生中なので、これでは逃げることは叶わない。 「うあーーー!!! れみりゃがぁおーーーー!!! がぁおーーー!!! おまえらなんかざぐやにたべられちゃえ!!! ばぁ~がぁ!!!」 ジリッ、ジリッと歩み寄ってくる人間達。 「ばぁーか!! ざぐやーー!!! ざぐやーー!!! はやぐぎでーーー!!!」 その言葉を最後にれみりゃの意識は暫く途切れる。 数ヵ月後、街には新しい店ができた。 他の屋台の店主達が共同で行っているそのお店、ちょっと中を覗いてみよう。 「へい! いらっしゃい!!!」 「いらっじゃいまぜー!!!」 肉まん一つお願いできますか? 「はいよ! おいさっさと準備しろ!!」 そう言って隣のれみりゃの背中を叩く。 何時もの婆くさい服の上から着ている真っ赤なエプロン。 そして、首と胴体に大きな輪をはめられ溶接されているその輪は、どうやっても取ることは出来ないだろう。 しかも頭には河童特製の発信機が付けてあるので逃げ出すことも出来ない。 「ほら、肉まん一つだってさ」 「う~やぁだ~!! ざぁぐや~!!!」 しかし、ダダをこねてなかなか始めようとしないれみりゃ。 その様子に、店主が痺れを切らした。 「さっさとやらないとまたお仕置きだぞ!」 「!! うーーー!!! はいやりまどぅ~!!!」 それを確認して店主はもう一匹のれみりゃを連れ出してきた。 大きさはさっきのれみりゃの半分ほど、母親とおそろいの妙に婆くさい服を着ている。 母親と同じように輪をはめられている、頭にも発信機が付いているのだろう。 温室にでも入れられているのか、ぽかぽかと顔が赤く肉汁の汗も出している。 「うぎゃーーー!!! ま゛ま゛ーーー!!!! ま゛ま゛ーーーー!!!!」 店主が、その子れみりゃの腕を一気に引きちぎる。 「う゛わ゛ーーー!!! れみりゃのごどもがーーー!!!! れみりゃのぷりでーなこどもがーーー!!!」 泣き叫ぶお母さんれみりゃ。 その前に運ばれた腕。 「早くしないとお仕置きだよ!」 男が耳元でささやくと、お母さんれみりゃは急いで腕から中身を取り出し、腕の皮を丸めて整形していく。 れみりゃ専用の低いテーブルで行われる作業はまるでおままごとの様だ。 数分と掛からないうちにほっかほかの肉まんの出来上がりだ。 「おまだぜじまじた!!! れみりゃのごどもがらづぐっだおいじいにぐなんでずーー!!! おがあさんのれみりゃが、いっじょうげんめいずぐりましだ!!! れみりゃだじはこうじゅうなにぐなんなのでとっでもいいじいでずー!!!」 笑顔とも泣き顔とも付かない顔で差し出された肉まん。 一口食べれば分かる。 旨い! 確かにこれは旨い! 「ご馳走様。 たしかにこの肉まんはとっても美味しかったよ! さすがれみりゃだね!!」 そう言って頭を撫でて店を出た男。 「ありがどーございまじだー!!! れみりゃのおいじいにぐまんまだだべにぎでくだざい!!」 去っていった男に挨拶をするれみりゃ。 その様子を見て店主が呟く。 「今日の夕ご飯はぷっでぃんだよ! だから何時もよりがんばってね!!」 True END
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『れみりゃ会議』 5KB 制裁 考証 ギャグ 自業自得 姉妹 人間なし 独自設定 独自設定垂れ流しだどぉー☆ ほとんどメタです。 虐待シーンもほぼありません。 れみりゃ会議 ロウソクの灯りしかない真っ暗な部屋の中、中央に置かれた円卓に3つの影が揺らめいていた。 「……最近、扱いが微妙なんだどぉ」 「だどぉ、この資料を見て欲しいんだど」 一つの影がテーブルのプロジェクターを操作する。 すると真っ暗な部屋にあるスライドが表示された。 「ゆわーん、レイパーが攻めて来たんだぜぇ!!」 「ゆゆゆっ、まりさ様に任せるんだぜ!」 ぽいーん、ぽいーん、どがっ、ぷにゅっ、ぺしっ!あーんこ! 「んほぉぉぉぉ、やられたわぁー!」 「むきゅっ!流石“あのれみりゃ”も退けたまりさね!」 「ゆっへん!」 「……最近一番よく見かける、『過去にれみりゃを倒した』パターン、つまり『れみりゃは強さのバロメータ』扱いなんだどぉ」 「本当に倒したのかどうか当時を見せて欲しいくらいなんだどぉ」 影はさらにプロジェクターの操作を続ける。 「……次なんだどぉ」 「うっうー☆たべちゃうどー!」 「まりさ!ちょうぜつすぱいらるはりけーんむそうてんせいだぜ!!」 「うー!ざぐやぁぁぁっぁあ!」 「むきゅっ!凄いわまりさ!あのれみりゃを倒すなんて!」 「ゆっへん!」 「……これ魔理沙じゃなくて霊」 「だどっ、そっちの名前は禁句だど」 「ごめんだどぉ」 「むしろ技名よりも問題なのは、何このまりさの強さ」 「どうして空を飛べるれみりゃが地べたを這いずる饅頭に負けるんだどぉ?」 「しかもこれは胴付れみりゃだどぉ」 「だ!?」 「ど!?」 「いわゆる『主役補正』なんだろうけど、基本は最弱認定のゆっくりが胴付に勝てるとかおかしいんだど!」 「そもそも虐待される作品の主役なのに補正とか逆の方向にかかるべきだどぉ!!」 影はプロジェクターの電源を切り、2人の待つテーブルへと戻った。 「共通するのはれみりゃがゆっくりの強さの引き立て役になってる事だど」 「なんでまた引き立てる必要があるんだど?」 「れみりゃより強いと自他共に認めるゆっくりを叩きのめす系の虐待に使うためなんだどぅ」 「……別にそんな事をしなくても他に方法はあるんだどぉ、そんな事でれみりゃ達の価値を下げて欲しくないんだどぉ……」 「そこで!」 バンッと机を叩きながら影の1つが立ち上がった。 「『れみりゃたちの強さを再認識させる作戦』を実行するんだど!」 「長いんだどぉ」 「具体的には何をするどぉ?」 「ふっふっふ、これを見るんだど!」 影はテーブルの上にあるものを置いた、子供が喜ぶ紙芝居である。 『あるところに善良なゆっくりの群れがいたんだどぉ』 『この群れは超平和な群れで、にんげんさんとも仲が良くて、ゲスは間引いて、山の山菜は採り過ぎずに、無駄に子供も量産しない群れなんだどぉ!』 「何と言うパーフェクト群れ、これは間違いなく善良を崩壊させる系が大好きな人の作品だどぉ」 「山の山菜……」 『しかもこの群れは胴付ふらんを含めた30体から構成されるふらんしすたーずの攻撃をも跳ね飛ばした、気は優しいけど力持ちな最強群れ!』 『そしてこのさいっきょうの群れをれみりゃ達でふるぼっこにする事でれみりゃ達の強さを世界に知らしめるんだどぉ!』 「おおっ、それは凄いんだどぉ」 「これでれみりゃ達の強さをみんなも再認識してくれるんだど!」 「どっどっどっ、と言うわけでドアの向こうには先ほどの最強の群れを用意してあるんだどぉ!」 「おおっ!」 「準備がいいんだど!」 3つの影は意気揚々と席を立ち、扉を開けた。 開けた扉から差し込む光、その光の向こうにたたずむ1つのシルエット。 「だど?」 「ど?」 「どぅ?」 金色の髪に、七色の宝石の羽。 「……話は全て聞かせてもらった、れみりゃは滅ぶ」 「ふっ!?」 「ふふふふふふ!?」 「ふらんだどぉおおおおおおおおお!?」 救いがないとはこの事だった。 語るのも苦しいほどの一方的な戦い、いやむしろこれは虐殺に近いものだった。 一瞬にして1人のれみりゃは顔面陥没の上、スライドのあった場所まで吹飛ばされ。 それに驚いて硬直しているもう1人はぎゅっとしてどっかーんされ。 我に返ったれみりゃが反撃を行おうとするものの、ふらんすぱいらるはりけーんさんぽひっさつでボコボコにされてしまった。 「うううっ、ひどいんだどぉ」 「うわぁーん、ざぐやぁぁぁぁ!」 「そ、それゆーぎのわざ……」 「大体さっきの紙芝居だとふらんが引き立て役になってる、おねーさま達のやろうとした事は結局まりさ達と同じ」 「だ!?」 「ど!?」 「ぉ!?」 れみりゃ達は目から鱗が落ちる思いだった。 自分達の地位を引き上げるために取った手段が、結局まりさ達のやらんとする事と同じだった。 強く凄い群れしかも『ふらん』を撃退する、つまりふらんと言うバロメータを利用したのだ。 「どぉ……」 「確かにその通りなんだどぉ、れみりゃ達が間違ってたんだど」 「もっと他の正しい方法で、れみりゃ達の地位を向上させるんだどぉ!!」 「うんそれ無理、大体引き立てられたまりさ達は『凄いけどさらに凄いものに負ける』のが王道、そして今その王道を突っ走ってるのがおねーさま」 「「「だ!?」」」 「『ふらんの群れを倒した群れを倒せるほどの凄いれみりゃ達』ここまで持ち上げられたおねーさまは、その王道通り『さらに凄いふらんに負ける』これが今回のお話」 「「「ど!?」」」 「つまり今回のおねーさま達は『凄いまりさ』役、ふらんは『その凄いまりさの鼻をへし折るにんげんさん』の役」 「「「ぉ!?」」」 ふらんの手が光る。 「おねーさま達はふらんの最終奥義、ふらんあるてぃめっとろいやるかごめかごめで滅ぶ」 「ま、待つんだどぉ!正確にはれみりゃ達はまだ『最強の群れ』を倒してないんだどぉ!つまりまだ王道回避の可能性が……」 「ない、今回そこは端折った」 「そこが一番重要なところだどぉおおおおおお!」 「さよならおねーさま、次回作では強いおねーさまだといいね」 「「「Dooooooooooo!!」」」 確かに最近は噛ませ役の多いれみりゃ。 しかし彼女達は過去の栄光を取り戻すための努力を日夜忘れない。 次こそはきっと、強く凛々しいかりすまうー☆なれみりゃ達に会える事だろう。 「ざぐやだずげぶっしッ!!」 「やめるんだDo!」 「もうやしきにかえるざくやぁぁぁぁぁ!!」 次があれば。 あとがき 久しぶりにSS書いた気がする。 おまけーね 「ゆっふっふっふ、おねーさんさん、まりさはあのれみりゃもたおしたえいっゆんっなんぜっ!!しにたくなかったらあまあまもってくるんだぜ!」 「えっ……れみりゃってあのゆっくり最弱の!?」 「ゆっ!?れ、れみりゃはよわくないんだぜぇぇぇぇ!」 「だって雑魚じゃん、雑魚雑魚、うっうーしか言わないし」 「そんなことないんだぜぇぇぇぇ、まりさいのちがけだったんだぜぇぇぇぇぇ!」 「やっすい命ね☆」 「やすくないんだぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」 対象が強いと思わなかったら噛ませにもならないよね♪ 「その扱いはあんまりなんだどぉおおおおおおお!!」
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前 ゆっくりれみりゃの調教(加速) 今日から調教は次の段階に入る。 とは言っても、朝からの訓練はいつも通りだ。 「いいか? 手で食べるときは掴むんじゃなく手のひらに掬って口まで持っていく」 「う~♪ うまうま♪」 「おい、聞いてるか?・・・こぼれたな。 プリンが1個減ったぞ」 「うあーー! ぷりん~!!」 「こぼさないように食べるにはどうやるんだった?」 「う・・・うぅ・・・」 「よし、できたな。」 「う~♪」 「じゃあ、そのやり方でこの料理をこぼさず全て食べ終えろ」 「うあーー!?」 「ここにはいろいろな物が並べられている。 この中からさっき教えた"いらないもの"だけを捨てろ」 「う~♪ これは~いらないから~ぽ~い♪」 「・・・それは大根だ。 プリンも1個ぽーいだな」 「う゛あ゛~!! ぷりん~!!」 「早くしないと全部無くなるぞ」 「う・・・うあ・・・これ?」 「ああ、それは空き缶だ。 正解だよ」 「うっう~♪」 「あと40個のうちから10個選ぶんだ。 プリンはあと3個しかないぞ」 「うあ~!? むり~!!」 「じゃあプリンは全部無しになるが」 「う~!! やりますううぅ!!」 こぼさない食事の仕方、捨てていいものとそうでないものの分別をつける訓練を終えた後、助手を呼ぶ。 「じゃあ、頼んだぞ。」 「ん゛~・・・」 助手はめんどくさそうに、諦め半分でうなずいた。 夕方 れみりゃは一人で部屋に座っていた。 これからまた暗くなり、一人でこの狭いところに一晩いなくちゃいけないと思うと昨夜の心細さを思い出してしまう。 しかしここの人たちに逆らうわけには行かないので、明日までじっとしているしかない。 れみりゃがこれからを"想像"し涙ぐんだとき、ドアが開いてゆっくりフランが部屋に入ってきた。 「う~、ふらん~♪」 フランは何も言わず、ドアを閉めるといきなり服を脱ぎだした。 「う・・・う~?」 ゆっくりフランのいきなりの行動の意味が分からず、困惑するだけのれみりゃ。 「・・・ん」 フランは自分の服を脱ぎ終えると、今度はれみりゃの服を脱がし始めた。 「う~!?」 これから何をされるのかが分からず、ただ不安から逃げようと身をよじるれみりゃ。 「動かない!」 叱りつけるような口調にビクッと動きを止めるれみりゃ。 その隙にフランはれみりゃの服をさっと脱がし終えてしまった。 「う~・・・ふらん・・・ふらん・・・?」 「じっとしてる」 れみりゃの身体を横たえ、その上に覆いかぶさるフラン。 そしてれみりゃの身体をするすると撫でさすり始める。 「う・・うぁ・・・あぅ・・・」 「ん・・・」 今まで感じたことの無い感覚に怯えながらも、 「う~・・・ふらん~!」 れみりゃはその感覚を生み出しているフランに抱きつくしかなかった。 「順調なようですね。」 「ああ。これならほぼ確実に受胎するだろう」 「しかし・・・いかがですか?これを見て」 「あ?」 「巷にはゆっくりに性的興奮を覚える人間がいるそうですが」 「ほぉ・・・それはまた・・・しかしお前はどうなんだ? あれを見て欲情したりしないのか?」 「何が悲しくて饅頭ごときの絡みに欲情しなければならないのですか!」 「お前のゆっくり嫌いも筋金入りだな・・・」 「そんなあなたには私が直々に新しい世界を教えてあげようかしら?」 「寄るな激臭!」 「少女臭とお言い!!」 ・・・ ・・ ・ 翌朝 「ふむ・・・よし、妊娠しているぞ」 「よかったわね~、赤ちゃんよ~?」 「う~♪ れみりゃのあかちゃ~ん♪」 自分の腹部を愛おしそうに撫でるれみりゃ。 れみりゃの腹部はすでにうっすらと盛り上がっている。 ちなみに助手は、疲れと気だるさの混ざった表情でふわふわと自室に戻っていった。 ここからはあまり身体のバランスを崩させないほうがいいので、訓練もソフトな物にする。 食事マナー、思考能力の基礎、読文字など、あまり動かなくてもできる訓練を時間を減らして行う。 一見かなりのペースダウンだが、後々ペースアップするまでの辛抱だ。 「う~♪おなかすいたぞ~♪はやくごはんもってきて~♪」 「分かってるよ。 ほら」 「う~♪ ぷりんもたべる~♪」 「それを食い終わったらな」 まだ計画の範囲内なので、少々の我侭は見逃す。 忘れてはいけないのが育児指導。 「赤ちゃんは優しく抱きながらご飯を少しずつ口に含ませてあげる。」 「う~♪ れみりゃのぷりんもわけてあげるの~♪」 「そうだな。 そしてご飯を食べさせ終わったら・・・」 これは本来の育児指導の意味もあるが、どちらかというと生まれてくる子供への愛情や大切さを刷り込むための意図が大きい。 こうして我が子を唯一無二の宝物だと認識させていく。 二日目、れみりゃは自分の子供の名前を考え始め、 四日目、れみりゃはお腹の子に向かって子守唄を歌っていた。 そして一週間後。 れみりゃを実験台の上に載せて服を脱がし、仰向けに横たえる。 れみりゃの下腹部から臍のあたりまで裂け目ができ、中で子供が少しずつ動いているのが確認できる。 体つきゆっくりの胎生出産は、普通のゆっくりとそこまで変わることはない。 ただ、生殖器からの出産は物理的に不可能なので(子供のサイズが大きすぎるため)、一時的に生殖器が腹部まで伸び、一気に産み落とすのである。 「う~・・・う゛~!」 うなり声を上げていきむれみりゃ。 体つきゆっくりの出産は人間ほど緊迫した感じは無い。 子供がすでに意思を持ち、自分から這い出てくるため意外とあっさり生まれるのだ。 「う゛う゛~!!」 ず・・・ずるり! 「ぅー・・・う~!」 案の定、あっさりとゆっくりれみりゃの子供が誕生した。 「うあ~! れみりゃのあがぢゃ~ん♪」 「おめでとうれみりゃ」 「う~♪ うっう~うあうあ♪」 「う~・・・まぁま~、ぱぁぱ~♪」 さて・・・ 「れみりゃ。ここに食事がある。プリンもだ。」 「う~♪ ぷっでぃ~ん♪」 「食事の順番は分かるな? いつものように食べるんだ。」 「う~? そんなのしらないどぅ~♪ ぷっでぃ~ん♪」 「ふぅ・・・」 やはりか・・・ 初めての出産を終えたゆっくりは、その衝撃と喜びで今まで覚えてきた事柄を忘れることが多い。 正確には、自分の生存に必要の無い、例えばテーブルマナーや正確な発音などを一時的にまるっと忘れてしまうのだ。 しかしまぁ、これも予測の範囲内ではあるのだが。 「そうか・・・じゃあ好きに食え」 「う~♪ いわれなくてもぷっでぃ~んたべるど~♪ ばぁ~か♪」 そして料理の乗っているカートに近づき、 「これはいらないからぽいっするど~♪ ぽーい♪」 「う~?」 料理を床に投げ捨てた後、プリンが乗っているカートによたよたと近づいていく。 母親が何をしているかよく分からないまま、よちよちとその後をついて行くあかちゃんれみりゃ。 「う~♪ぷっでぃ~ん♪」 カートに半ば身を乗り出し、手づかみでプリンをぐちゃぐちゃと食べていくれみりゃ。 と、いつもはどっしりとしているカートがぐらりと傾き、 がっしゃーーーん!! カートが倒れ、放り出されるれみりゃ。 「うぎゅ!!」 そのまま床に顔を思い切り打ち、涙ぐんでいる。 「う゛・・・う゛あ゛~! ざぐや~!!」 俺は泣いているれみりゃに近寄り、 「おい、れみりゃ!!」 「う゛!?」 俺の大声に驚き泣き止むれみりゃ。 俺はひっくり返ったカートに近づき、その下敷きになっているものを見せる。 「これを見ろ」 「う゛・・・う゛~・・・ う゛あ!?」 そこには、カートに押し潰され見るも無残につぶれている赤ちゃんれみりゃの姿があった。 「う゛・・・うぁ・・・あ、あ・・・」 ふらふらとぐしゃぐしゃの自分の赤ちゃんに近づき、 「う゛・・・う゛ぅ・・・う・・・?」 原形をかろうじてとどめているそれを抱き上げ、 「うあ・・・う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!!」 慟哭した。 「う゛あ゛ーーー!! あ、あがぢゃん! れみりゃの、あがぢゃんがあああああぁぁ!!」 「それはお前のやった事だ」 「あぁ・・・あ・・・あがぢゃん・・・あがぢゃんんんんんんん!!」 「お前はいつもの手順を踏まなかった」 もともと、プリンのカートは料理のカートに比べて非常に不安定な構造になっている。 普段は、料理を食べ終わってから料理が載っていたカートと合体させ、安定させてからプリンを食べていた。 さらに最近では、カートに乗り出すことすらなく手でうまく掬って食べることができるようになっていた。 「お前が賢ければ赤ちゃんは生きていた。」 「う゛う゛う゛う゛ぅぅ・・・うあ・・・うあああぁぁぁ・・・」 「お前が愚かで馬鹿だから赤ちゃんは死んでしまった」 「うぅ・・・ぐしゅっ・・・う゛う゛う゛う゛ああああぁあ!!」 「もしお前が・・・今よりずっとずっと賢くなれたら・・・赤ちゃんは生き返るかもしれない」 「う゛・・・う゛ぅ・・・?」 「お前がやったこととどうやればよかったのか、これからどうするかを一晩ゆっくり考えるといい」 そう言ってれみりゃ親子を部屋に残し、ドアを閉めた。 なんでだろう・・・ 暗闇の中、もう動かない赤ちゃんを抱きしめながら思う。 赤ちゃんはかわいかった・・・ ずっと一緒に暮らしていけると思っていた・・・ あの人も赤ちゃんと一緒にいていいって言ってくれた・・・ 赤ちゃんのための勉強もした・・・ ずっとれみりゃが赤ちゃんを守ってあげるつもりだった・・・ なのに赤ちゃんはれみりゃのせいで死んじゃった・・・ なんでこんなことになってしまったんだろう・・・ ・・・そういえば・・・ れみりゃはいつもあの動く台を一緒にしてからのぼっていた・・・ 一緒にしないときはのぼらなかった・・・ れみりゃはさっき何も考えずにのぼった・・・ だから動く台が倒れたんだ・・・ いっぱいいっぱい考えてからやらないといけないことだったのに・・・ れみりゃがわるいんだ・・・ れみりゃがぜんぶわるいです・・・ あかちゃん・・・ ごめんね・・・ ごめんね・・・ ごめんなさい・・・ ごめんなさい・・・ッ!! あの人がさっき言ってた・・・ れみりゃが賢くなったら赤ちゃんが生き返るって・・・ あの人ならできると思う・・・ あの人は何でもできるから・・・ れみりゃは一生懸命賢くなろう・・・ それで赤ちゃんを生き返らせてもらおう・・・ あかちゃん・・・ ままはいっぱい賢くなって赤ちゃんを生き返らせてもらうからね それまでちょっとだけ待っててね! れみりゃがそんなことをぐるぐる考えていたその時、 「・・・ぁ・・・」 「う゛ぅ!?」 「・・・ぁ・・・ぁ・・・」 「あ・・・あかちゃん!?」 「まぁ・・・ま・・・」 生き・・・返った・・・ 赤ちゃんが生き返った!! あの人の言ったとおり赤ちゃんが生き返った!! 「う・・・うああああああああああぁぁぁぁ!!!!」 れみりゃの目から大粒の涙が零れ出す。 「あかちゃん・・・あかちゃん・・・! あかちゃん・・・!! あがぢゃん!!!!」 「まぁま・・・いだい・・・」 「う!・・・うぅ」 喜びのあまり力を入れすぎてしまった腕を解き、赤ちゃんに向き直る。 まだ手足は再生しきっておらず、痛々しい傷口がそこかしこに見える。 「う!ちょっとまってね!」 「うぅ?」 普通のゆっくりれみりゃならほぼ確実にやらないこと。 あの人の教えてくれたやり方にも無かったこと。 でも何故か最初から知っていたやり方。 「ん゛・・・ぐぷっ!」 「う~?」 「ん・・むちゅっ・・・」 「んっ! んっく、んっく、んっく・・・」 先ほど平らげた特大プリン。 半ば消化したそれを口移しで赤ちゃんに与える。 それがなくなると、今度はさっき床にぶちまけた料理の残骸を、床を舐めるようにして食べ、反芻して赤ちゃんに食べさせる。 賢くなる。 この子を守れるように賢くなる。 もう絶対に間違えない。 そうすれば、 私はこの子を守り抜ける。 「・・・予想の斜め上を行った結果ですね」 「いや、このパターンも予測していたさ」 「あの状態から回復すると・・・もしや何か薬品で?」 「まさか。 竹林の薬師さんじゃあるまいし、そんな都合のいい薬作れるかよ」 「では、なぜ?」 「俺の最高傑作であるフランと不死型の代表たるれみりゃの子だ。いけるかも、くらいには思っていた」 「その可能性を提示したのは私なんだけどね~」 「まぁいい。 これで調教のペースが跳ね上がるぞ。 お前達にもちゃんと手伝ってもらうからな」 「は~い」 「はい」 ・・・ ・・ ・ 次の日 気分を盛り上げてやるために特大プリンを2つ持って部屋に入る。 「うー! れみりゃのあかちゃん、いきかえりました!」 「ほぉ。 じゃあお前は賢くなったのかな?」 「なりました! でも、もっといっぱいかしこくなります!」 「それは楽しみだ。 まぁ、今日はお祝いだ。 ほら、プリンだぞ」 「うー!」 れみりゃ親子の前にプリンを置くと、れみりゃのほうが手を伸ばし、結構な勢いで2つとも平らげる。 「な・・・!?」 何か言おうとしたまりさを制し、様子を見る。 「う~・・・ん~・・・」 何度か首をかしげるようなしぐさをした後、 「ん・・・ん゛ぐっ!・・・むちゅっ・・・」 「んっ・・・んっく、んっく、んっく・・・」 「・・・少し自分の力で食べさせるのも育児のうちだぞ」 れみりゃが進化したのは喜ばしいが、過保護に過ぎると子供が甘えて退化するので目を光らせなければならない。 この手順を踏んだことで、身体面での強化実験がとてもやりやすくなる。 まず、子供がこちらにいるため飛行訓練などで逃げられることがない。(逃げたら捕まえればいい話なのだが、助手のストレスが溜まるので気が進まない) そして何より、多少きつくても文句一つ言わずこなすようになったのが一番大きい。 なだめ、すかし、脅す手間が省けるのは、地味なようでいてその実とても大きい。 もちろん、知能面での訓練も格段にやりやすくなった事は言うまでもないが。 「れみりゃ。 身体の調子はどうだ?」 「う・・・はい。 すっごくいいです」 「具体的には?」 「う~・・・はやくあるけるし、たかくとべます」 コミュニケーション能力が発達し、会話が成立し始めた時点でB3の投与を中止し、その後は自らの変化に任せる 。 あまり投与しすぎると、むらができたり密度が高まりすぎて関節が動かなくなったりするからだ。 やりやすいのでとことん行きたい所だが、身体能力向上の訓練はさらっと流す程度に終わる。 今回目指すところは戦闘型ではなく、どちらかといえば潜入型だ。 身体がよく動くようになると、比例して再生能力も上がるので一応の訓練はする。 だが、あまり素早く動いて相手に感づかれたら全く意味が無いのだ。 飛行訓練もほとんどする必要は無かった。 「よし、もうフランの半分くらいの高度なら余裕だな」 「ままたかーい!」 「よし。 れみりゃ! 降りて来い!」 「うー、はーい!」 「よし、順調に・・・あ」 「う~♪ う?・・・うぶぎゅ!!」 「ままのうでが・・・」 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「はぁ・・・再生するまでそこで休んでろ。 この腕は・・・」 「ん~♪ ゆ~♪」 「丁度いい。 ゆゆこ!」 「ん~?」 「ほれ」 「あ~ん・・・ぱくっ♪ ・・・かたーい!」 「文句を言うな」 ・・・ ・・ ・ そろそろ全ての項目において合格点をつけられるな・・・ 「まりさ! ゆかりん!」 「ん?」 「はい?」 「明後日、れみりゃの試験運用を行う。」 「少し早くありませんか?」 「能力的には問題は無い。それにそろそろ期日が迫ってきている。」 「どっちからやるの~?」 「まずは人里での知能試験だ。 身体能力試験の内容も決まってはいるが、もう少ししないと実行できん」 「分かりました。 明日1日は休ませるのですね?」 「ああ。 ・・・さて、どんな結果が出ることやら」 続く このSSに感想を付ける
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午後11時、久しぶりにあった友人と遊んでいた俺は、飲みすぎたなと反省しながら家のドアを開けた。 すると暗闇の中、ガサゴソと何か音が聞こえた。まさか泥棒でも入ったのだろうか。 どうすべきか玄関で迷っていると、その暗闇から声が聞こえた。 「う~♪なかなかおいしいぷでぃんだど~♪」 「うー☆」 「みゃんみゃ~♪れみりゃはもっとだべたいどぉ~♪」 「おやさいはいらないどぉ~♪ぽいだどー!」 そういって何かが投げられた音がした。そして声の主たちはバグバグと何かを食べている。 俺は電気を付けた。そこには居たのは大きいれみりゃが1体と子供が2体。俺の冷蔵庫を漁っているようだ。 確かあの中には、自分へのご褒美(笑)に買った6個入り3,700円(税込)の烏骨鶏のプリンが・・・ 屋上へ行こうぜ・・・・・・ 久しぶりに・・・・・・ キレちまったよ・・・・・・ とりあえず何か縛るのはっと。ビニール紐でいいか。ガムテープも必要だろう。 まずは子供を掴んで羽を縛る。 「にんげんのくせになにするんだどぉ!!こうまかんのおぜうさまにさわるなんてぶれいだぞぉーー!!!! ぶれいなにんげんはれみりゃがたーべちゃーうぞー♪」 キュッキュと縛りあげてそのまま風呂場へ。如何せん今日は飲み過ぎて疲れている。しばらく浴槽の中に置いておくとしよう。 「おちびちゃんになにするんだどぉーー!!!れみりゃをおごらせたらにんげんなんかすぐしんじゃうぞーー!!」 二匹目の子供に取り掛かる。「いまならみがすんだどーー!!みゃんみゃとさくやをおこらせたらたいへんだどーー!!」 はいはいスルー推奨。そして最後に残った親も縛りあげて浴槽の蓋を閉める。一応重石でも載せておこう。このまま水を入れて風呂を沸かすのも手かと思ったが それだと風呂の掃除がやばそうだ。明日は休日だしシャワーを浴びてとっとと寝るとしよう。 次の日。太陽も真上に来そうな時間に俺は目を覚ました。パンとベーコンとれいむの素焼きで遅い朝食を軽く済ませ、部屋の掃除と洗濯物を欲し、 それから浴槽の蓋を開けてみた。三匹ともぐっすりと眠っていた。さてどうするか 俺はネットで何かネタはないか適当に探してみた。そしてとあるページを見つける。・・・ふむこれか。食い物の恨みは食い物で晴らすべきか 俺はさっそくゆっくり専門店に向かった。ビルの地下にあるそこは、アブノーマルな趣味を持つ者たち専用の店である。 通常の店とは揃っているゆっくりの種類も道具も違っていた。 俺はそこで1匹のレイパーゆっくりを購入すると帰宅した。特殊な育て方でレイパー化させたゆっくりのため かなり値が張ったのだが。まあこのさい我慢しておこう。 そして浴槽で未だに寝ているれみりゃ達を見て、そこへ買ってきたゆっくりを投入した。 「お・・・おねーさまあああああああああああああ!!!!!!」 ゆっくりふらんである。ただ特殊な育て方によりレイパーありす並に万年発情しているらしい。 産まれた時から発情させているらしいが詳しい事は教えて貰えなかった。 親れみりゃに思いっきり抱きつくふらん。流石にうるさかったが全員起きたようだ。 「うーー!!!うっうー!!!!!!!(ふらんなにずるんだどぉー!すっきりじだぐないどぉー!!!)」 「うっうーー!!!(みゃんみゃにへんなごどじないでーー!!!)」 ただでさえ身体能力で負けてる上に、狭い場所で羽を縛られたとあってはどうしようもない。そのままふらんはれみりゃとすっきりーし続ける。 「おねーさまのなかきもちいどおおおおおおお!!!!ふらんのあいをうけとってしねええええええ!!!!」 「ううううううーーーーーー!!!!!!」 「すっきりー!」 「うっうう・・・・(すっきりだどぉ・・・)」 どうやら終わったようだ。それと同時にれみりゃの顎が妙に膨らみ始めた。 胴付きれみりゃは基本的に動物型出産である。それと興味深い事に、うーっぱっくだろうが胴なしれみりゃだろうが 子供は全て胴なしれみりゃの状態で生まれるらしい。そしてそこから1週間ほどでそれぞれの形になるのだとか。 そんな生物の不思議に感動してる間に、どうやらふらんは子供と第二ラウンドを行うらしい。 「う゛ーーー!!!!(ざぐやだづげでぇー!)」 「おねーさまのあかちゃんもかわいいいいいいいいいい!!!ふらんすっきりするううううううう!!!!」 赤ん坊相手でも容赦なし。体を押さえつけて無理やり頬をすりよせる 子供の体でにんっしんは大丈夫なのかと思ったが、どうやら大丈夫らしい。無事ににんっしんしたようだ。 俺はふらんが三体を妊娠させるを見届けると、ふらんを専用のケースに入れた。そしてれみりゃ達に餌をあげることにした。 餌は昨日れみりゃ達がポイっと捨てていた野菜である。ガムテープを外してやると 「かわいいあがちゃんのためにはやくぷでぃんをもってくるどぉー!!!でないとさくやにいいつけるどぉー!!!」 「あのふらんはゆっくりできないふらんだからちかづけちゃだめだどー!!!うすのろなにんげんはわかったらへんじするどぉー!!!」 餌投入。 「うー?おやさいはポイだどぉー♪」 そういって野菜を投げ返そうとしたが、その前に蓋を閉めた。 そしてそのまま何事もなく一日を過ごした。これからしばらくシャワーになるがもう気にしない事に決めた。 2日目、出勤前にれみりゃの様子を確認。以外にも野菜には手をつけたようだ。流石に身ごもっているからだろうか。 子供の方は早くも元気が無くなっている。このままだとにんっしんに耐えられないかも知れない。追加の野菜を投入した。 4日目、だいぶ顎の方も膨らんできた。子供の方はというと、一匹死んでいた。可哀想なのでそれを切り刻んで餌にしてあげた。 喜んで食べていた。 7日目、もう片方も死んでしまった。親は泣き叫びながらこちらを睨んでいたが無視した。 そして10日目・・・ついに出産の時期を迎えた。 「うー!!!!えれがんとなちびゃんがうまっるどぉおおおおお!!!!」 浴槽で力むれみりゃ。そうして膨らんだ顎から生まれたのは元気な胴なしれみりゃだった。 この時点で普通の子ゆっくりぐらいの大きさがあった。生まれたのは合計3匹。 「うっうー♪れみりゃのかわいいちびちゃんだどぉ~♪ゆっくりえれがんとにそだてるど~♪」 「うー!うー!」 うん、それ無理。 産まれたての三匹を持って風呂場をさる。「ちびちゃんをがえじでえぐだざいいい!!!!」などと聞こえるが当然のごとく無視。 とりあえず先に餌とふらんを投入して蓋を閉める。 「う~?うっうー!」 すりすりと腕に頬を押しつける赤れみりゃ。そのうちの1匹を冷凍室に入れる。 「うううーーー!!!!うー!!!!」 寒いのか叫び出したが数分のうちに声は聞こえなくなった。その間、俺は今日の夕飯の準備に取り掛かった。 調理は簡単。れみりゃをキツネ色になるまで揚げるだけ。 「うー!うー!」という声が聞こえなくなる頃が頃合いである。揚げまんの出来上がり。 そしてもう一匹の方はというと、まずは皮を千切っていく。そしてれみりゃの頭の上をくり抜く。 「う゛う゛う゛う゛ー!!!!!」という声を聞きながら中身を取り出し、それを先ほどちぎった皮で包む。 包み終えたら、それをれみりゃの中身の無い頭の中へ入れ、蓋を閉める。こうすることで素焼きも楽しむ事ができるのだ。 形を整えたら、フライパンに油を注ぎ、れみりゃを投入。水を入れ1~2分蒸し焼きにして、皮がパリパリになったら出来上がり れみりゃ餃子の完成である。 食べてみた感想はと言うと・・・これはイケる。本当に美味い。ていうか売れるレベルだこれ。 そうして俺は浴槽に戻りふらんを抱き上げてケースに戻した。これは意外といい商売かも知れない。 そうして8か月後、俺はれみりゃ料理の会社を立ち上げていた。主にネット通販での販売である。 れみりゃの調理はその断末魔から嫌がる人間がかなり居る。よって俺は完成品を販売していた。 まあもの好きな人間は赤れみりゃをそのまま買ったりする。 あの後、俺は味の追求のため、空き倉庫を借りて餌や環境を変えながら調理用赤れみりゃの育成に全力を注いだ。 それによって、生まれたてより親と2日程度過ごさせた方が絶望がまして美味しくなることがわかった。 更に胴なしよりは胴ありの赤ちゃんの方が中身がたっぷりなのもわかった。これはよく考えれば当然の事かも知れない。 何せ胴なしから胴ありに成長するのだ。中身の量も生まれたときから違うだろう。 元では多少かかったが、なんとか会社も軌道に乗った。これからは必ず現れるライバルに向けて新製品の開発を進めなければならないだろう。 そんな事を思いながら俺は烏骨鶏のプリンを頬張っていた。 せっかくなのであいつにもこのプリンをあげよう。設立祝いだ。 俺は風呂場の浴槽を覗く。そこにはいつも通りにんっしん中のれみりゃが居た。 「ほら、ぷでぃんだぞ。お食べなさい。」 そういってスプーンでぷでぃんを食べさせてやった。思えばこいつとも長い付き合いだった。こいつが居なければ調理用のれみりゃは完成できなかっただろう。 感慨深いものを感じながら食べさせてやった。 「れみりゃのえれがんとなちびちゃん~♪おかーさんとのうさつだんすをおどるどぉ~♪れみ☆りあ☆うー!」 最近はこれしか言わなくなった。と同時に生む子供の数も1匹になった。しかし生産は他のれみりゃで行っているの。こいつは俺専用のれみりゃなので 別に一匹でも問題はなかった。 さて、シャワーでも浴びるとするか。 【あとがき】 なんで長編書こうとすると小ネタが思いつくんだろう。 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! 徹夜でゆっくりしようぜ!2 地震 ゆーうーかい ゆーうーかい 解決編 ゆーうーかい番外編 ~ゆっくりプレイス~ ゆっくりパニック このSSに感想を付ける